瀕死のトリッカーズを救う。レストア大作戦
メルカリで“かなり訳あり”なトリッカーズのカントリーブーツを買いました。価格は魅力的でしたが、届いた実物はなかなかの“重症”。靴好きの意地に懸けて、この瀕死の一足をどこまで蘇らせられるのか。今回はその奮闘記をお届けします。
届いた瞬間の絶望。「あ、これは重症だ!」の巻
開封して5秒で状況を理解しました。
- 甲に“飲み会後のシャツ”みたいな広範囲のシミ
- ブチッと裂けたプルストラップ
- ちぎれたシューレース
- 全体の汚れ+革は砂漠並みにカラッカラ
- 中敷きはボロボロで不衛生な見た目
- 型崩れで全体がグッタリ
とはいえ、このまま諦めるわけにはいきません。









取れないシミとの壮絶バトル。結果完敗
まずは甲のシミと対峙。
モウブレイのステインリムーバーで拭く → 無反応。
サフィールのレノマットリムーバー → 無反応。
コロニルのライニガー → 無反応。
レザーソープで洗っても → やっぱり無反応。
最後は勇気を出して有機溶剤を投入。
結果は…「びくともしない」。
この瞬間、シミとの戦いは終結。私の完敗でした。
仕方なく、サフィールのレノベーションカラー補修で“色を乗せて隠す”作戦へ移行。
調色は料理みたいなもの
一発で合う色なんてありません。
数色混ぜてちまちまと色合わせ。
「これだ!」と思って塗ると微妙に違う、その繰り返し。

キモはデリケートクリーム割り
補修クリームは原液のまま使うと革の質感が一気に死にます。そこで、デリケートクリームで薄め、薄く塗り重ねるという方法を採用。これ、時間はかかりますが仕上がりが全然違う。境目も自然にぼかせて、革の表情もある程度残ります。
型崩れは「ブリガのブーツツリー」で奇跡の復活
続いて形の矯正。ワークブーツ用のブリガのブーツツリーを入れると、これがピッタリ。春夏のシーズンオフのあいだ入れっぱなしにしていたところ… え、これ本当にあの靴?と思うほど、美しい立体感が蘇りました。ブーツツリーって凄い。

革の水分・油分は“足し算ではなく順番”が命
乾燥が深刻だったので、今回はガチでケアしました。
① クリストフ ポーニーのシュートニックを最初に
オイルで“通り道”を作るイメージ。これを入れると次のクリームの吸収が全然変わります。スキンケアでいう“導入美容液”。
② デリケートクリームで水分補給
一気に革が「生き返った感」を出してきます。
③ 履きジワにはクリストフ ポーニーのレザーセラム
特に乾いている部分に集中ケア。これで革の質感が完全復活しました。
外注は1万円ちょい。プロの力はやっぱりすごい
最後はプロにお任せした部分。
- ちぎれたプルストラップ交換
- 中敷きの新調
- シューレース新品に
- ソール周りの補修



全部まとめて1万円ちょい。「自分でできるところはやる、できないところは任せる」このバランスが重要だと実感しました。
復活したトリッカーズは、ちょっと誇らしい
完成した姿を見て思いました。
「これ普通に履けるぞ!」
修理前の姿を知っているだけに感動もひとしお。中古の“問題児”だったはずが、今では街に連れ出すのが楽しみな一足になりました。レストアって、手間はかかりますが、“育てた感”が一番味わえる靴の楽しみ方かもしれません。



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