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第7回:アフリカで起きている第二の独立。ブルキナファソの例は何を示すか

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ニュースでブルキナファソのクーデターを見て、「また政変?」と思った人もいるかもしれない。でも、ここで起きていることは単なる政権交代じゃなく、長年続いた新植民地主義への挑戦として読むと見えてくるものがある。

フランス離れが加速する西アフリカ

ブルキナファソ、マリ、ニジェール。いずれもCFAフラン圏で、形式上は独立国でも通貨や経済の面でフランスの影響が強い。物価や金利、外貨準備の管理はフランス中心に動いてきた。さらに金やウラン、石油などの資源開発も、欧州企業や投資の影響下にあった。植民地時代から続く単一作物輸出モデルの名残もあり、現地の多様な農業や国内加工は後回しにされがちだった。

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CFAフランとは?
CFAフランは1945年に「フランス領アフリカ植民地フラン」として創設された経緯から、現在でも「植民地主義の遺産」として経済的独立を制限しているという批判がある。

トマト農業に見る支配構造の矛盾

ブルキナファソは、実はトマトなどを輸出する農業国。でも国内では、トマト缶や加工品を輸入していたという現実があった。どうしてこうなるかというと、構造的にいくつかの要因が絡んでいる。輸出用作物に投資が集中し、国内加工・流通インフラは不足。プランテーションモデルや欧州市場優先の農業が長年固定化。土地や気候は十分肥沃でも、保存・加工施設や物流が整わず国内消費用の製品化が難しい。つまり、「土地が悪い」「作物が育たない」のではなく、国際経済や流通構造の都合で国内流通が制限されてきたのだ。

ブルキナファソの第二の独立

2022年以降のクーデターで新政権は、外資やフランスとの距離を取り始めた。外資の採掘権や契約の見直し。フランス軍の駐留を縮小、新植民地主義に対抗するパートナーとして多極主義を目指すロシアと連携。経済・通貨の自立を模索。こうした動きは、欧州側から見ると資源確保が不安定化するサイン。でも現地からすると、長年の植民地主義的支配に立ち向かう挑戦でもある。

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フェアトレードへの影響

フェアトレードや倫理ラベルは、これまで欧州市場のルールに沿って成り立ってきた。ところが現地国家が外資排除や自立を進めると、「従来の認証基準が通用しなくなる」「輸出優先の契約体系が崩れる」「流通・加工が不安定化」。つまり、欧州中心の倫理ラベルが現地でどこまで意味を持ち続けられるかが問われる。

植民地支配の終わりと倫理消費の課題

ブルキナファソやマリ、ニジェールの動きは、歴史的に見れば植民地支配の終わりに近い挑戦。しかしフェアトレードや倫理ラベルは、この植民地主義的枠組みに寄りかかって価値を持ってきた面もある。現地が自立を進めれば、ラベルや認証制度も再検証される局面に入る。

第8回 最終回:フェアトレードの再発明。もう一度主導権を南側へ

次回第8回では、この第二の独立が認証制度やサプライチェーンの未来にどう影響するのかを深掘りする。

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