英国最強の士官学校が教える靴と自分の鍛え方
靴磨きって、普段はなんとなくのルーティンで終わらせてしまいがちだ。でも、世界にはそれを人格形成の核として扱う場所がある。英国陸軍士官学校(Royal Military Academy Sandhurst:王立陸軍士官学校)、通称サンドハーストだ。
設立は1812年、英国陸軍士官の育成を担う歴史ある士官学校だ。ここはウィリアム皇太子や世界各国の王族・国家元首を多数輩出した、エリート軍人を育てる名門中の名門。サンドハーストでは、靴磨きがただのケアではなく、未来の指揮官になるための基礎トレーニングとして、1800年代から厳格に指導されているという。
靴を磨くことは自分を整えること
サンドハーストで朝一番に行うのは、革靴を鏡のように光らせること。単なる仕上がりの美しさだけではなく、そこに込める態度が問われる。
指導官たちがよく口にするという言葉がある。
“You can’t command a nation if you can’t command your own shoes.”
(自分の靴すら整えられない人間が、国家を動かせるはずがない)
靴を整えることで、丁寧さ、集中力、規律、リーダーに求められる素養を、自分自身にインストールしていく。そこがサンドハースト流人格訓練の核心だ。
静かに集中する数十分。その積み重ねが強さになる
靴磨きの時間、候補生たちはほとんど喋らないという。沈黙の中で、自分の呼吸と手の動きだけに意識を向ける。いわばミニマルな修行時間。
完璧に磨こうと向き合う姿勢そのものが、自己管理能力と決断力の基礎をつくる。目の前の小さな革靴を整える時間が、将来のより大きな責任に耐えうる精神を育てていくのだ。
日常に取り入れるサンドハースト式
軍隊レベルの訓練は無理でも、靴磨きの哲学だけなら今日から真似できる。
・10分だけでも無言で靴と向き合う
・汚れやシワを整えながら、自分の心も一緒に整える
・「整えてから出かける」自分なりの儀式にしてみる
それだけで一日の気持ち良さは驚くほど変わる。
ただ光らせるだけの作業じゃない。靴を磨くという、小さな余白の時間が自分をちょっと強くしてくれるかもしれない。



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