知らずに使っているかも!? PFASの実態と日常生活でできる対策
最近ニュースで耳にする「PFAS」。一見、遠い科学の話のように聞こえますが、じつは私たちの日常に意外な形で入り込んでいます。取材を進めると、ちょっとした知識と工夫でリスクを減らせることがわかりました。今回はその実態と対策をまとめます。
PFASってそもそも何
PFASとは「有機フッ素化合物」の総称で、「水や油をはじく」「汚れがつきにくい」という性質を持っています。この性質が便利すぎて、調理器具や撥水加工衣類、化粧品、食品包装材まで、ありとあらゆる生活用品に使われてきました。また、油火災に強い特性があり、消火性能が高いことから空港や基地などに使用されてきました。
しかし、その中でも「PFOA」や「PFOS」といった種類は、体内に蓄積されやすく、環境中で分解されにくいことがわかっており、世界的に健康リスクが問題視されています。アメリカやヨーロッパでは水道水汚染や土壌汚染がニュースになり、国際的な規制も進んでいるのです。

どんな有害性があるの?
PFASの怖さは、目に見えないことと、体内にじわじわ蓄積することです。研究によると、PFOAやPFOSは以下のようなリスクが報告されています。
- 発がん性:腎臓がん、精巣がんとの関連
- ホルモンへの影響:甲状腺や生殖ホルモンのバランスを乱す可能性
- 免疫系への影響:ワクチン接種後の抗体反応が弱まることも
- 出生・発育への影響:低出生体重や発育への影響が示唆
もちろんすべてのPFASが危険なわけではありません。現代の製品は安全性が改善されているものもありますが、知識として知っておくことは大切です。
日常生活でPFASに触れているのはどんなもの?
取材を通じてわかったのは、便利すぎるがゆえにPFASは意外と身近に存在していることです。
- 靴・防水スプレー:お気に入りのスニーカーや革靴、雨の日用の防水スプレーにPFAS入りのものが多い
- 衣類・アウトドア用品:フッ素系撥水加工ジャケットやキャンプギア(テントやシート)
- 調理器具:テフロン加工のフライパン、炊飯器の内釜
- 食品包装材:ポテトやファストフードの紙袋、耐油紙
- 化粧品・パーソナルケア:ウォータープルーフ系リップやファンデーション
- 家庭用品:防汚加工のカーペットやソファ、マットレス
さらに、日本でも水道水に含まれていた事例があります。特に米軍基地周辺、フッ素系樹脂製造工場、空港、消防訓練施設付近の地下水や河川でPFAS汚染が確認され、一部の水道水に取り込まれたことがあります。世界的には、米国・欧州・アジアでも同様の問題が報告されており、国際的に規制や監視が進んでいるのです。
ファッション好き・アウトドア好き必見!実践できるPFAS対策
- 水を見直す
- 活性炭フィルターや逆浸透(RO)浄水器でPFASを大幅除去。特に水源が米軍基地や空港付近の場合は効果的。
- 「NSF P473」や「NSF/ANSI 53・58」認証がある製品を選ぶと安心です。
- 靴や防水スプレー
- フッ素系スプレーは避け、シリコン系・非フッ素系を使用。スプレー時は換気を忘れずに。
- キャンプギア・アウトドア用品
- フッ素系撥水ジャケットやテント、シートは「PFAS-free」や「C0」表記を確認。
- キャンプ好きなら、自然派素材や非フッ素撥水のアイテムを選ぶのも一案。
- 古着・中古アイテム
- ヴィンテージや中古品は旧式のPFAS処理がされている場合あり。
- 購入時に撥水加工や防水表示、製造年代を確認。必要なら再加工で対応。
- 調理器具
- 古いテフロン鍋は買い替え、PFOA-free・PFAS-freeの表示がある製品を選ぶ。
- 化粧品・日用品
- 成分表示で「PTFE」「Perfluoro」「fluoro」をチェック。PFASフリー製品を選ぶ。
- 掃除・ほこり対策
- HEPAフィルター付き掃除機でホコリを減らし、室内の微粒子暴露を抑える。
今日からできる、ちょっとした工夫
PFASはニュースだけの話ではなく、ファッションやアウトドア、毎日の生活に潜んでいます。知識を持って少し工夫するだけで、日常生活での蓄積を減らすことが可能です。
靴好きなら防水スプレー、キャンプ好きならギア選び、古着好きなら加工の有無にちょっと気を使う。肩肘張らずに、楽しみながらリスクを減らす、そんな意識が大切です。未来の自分の健康を守る、ささやかなアクション、始めてみませんか?


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