スティーヴ 2011春夏新作 | こんな時だからこそ、着たい服を着ましょう。
世界や日本の現状を見れば、守りに入るのは仕方ないですが、それが続くと皆が元気を失ってしまいます。「愛国消費」という本が話題になったり、政治的な愛国主義でも、国産志向でもない、平和で美しいこの国が好きという自然な感情による消費が増えているそうです。こんな時だからこそアクティブに過ごしましょう。

良いものは理屈ぬきに魅力的です。

「私自身が職人の手仕事や、手縫いで作られたものが好きということもあり、小ロットの発注にも柔軟に対応してくれ、なおかつ丁寧に作ってくれるファクトリーブランドとの取り引きが多いんです。なかでもイタリアの職人が作りだす服はシワの出方ひとつが魅力的だったり、どこか不完全な美しさを感じます。量産ブランドにはない温もり感や余裕がありますね」と石内さん。
このようにスティーヴは自らが「着たい服しか売りたくない」というポリシーをオープン当初から守っている頑固なショップなのだ。
また、石内さんがすべてのアイテムを選んでいるため、たとえブランドが異なっていてもトラディショナルな雰囲気のものが多く、醸し出す風合いも似ている。そのため、お客さんによっては全身のコーディネイトをお願いする場合もあるという。
ではまったく新しいブランドがないかというとそうではなく、気に入った商品は積極的に仕入れている。ただシーズンごとにコロコロとショップの色が変わらないということだ。
常にイタリアのピッティの動向に合わせ、トレンドに左右されるショップが多いなかにあって、かえって存在感を増していることは確かだ。一貫したポリシーを頑固に守りながらも、お客さんとのつながりを大切にしている稀有なショップなのである。

文:倉野 路凡 写真:猪又 直之