秘めた実力を知れば持つ喜びが大きくなる
実力派腕時計ブランド
第5回 ノモス
バウハウスの流れを汲む簡素美と、機械式時計の融合

ノモスの腕時計は誰が見てもすぐにそれとわかるデザインです。残念ながら現在の腕時計の多くは他社製品と似た顔をしています。また同じブランドでも10年前と現在とではまったく似ていないことだってあります。つまりトレンドに左右され過ぎてデザインに一貫性がないということです。その点、ノモスの腕時計は他社とは顔も違い、ブランドが再興した1992年以来ほとんど変わらない、スモールセコンド付き三針時計のシンプルなデザインです。その根底に流れているのはバウハウスの精神です。ちなみにバウハウスは1919年に建築家ヴァルター・グロピウスによって創設された総合造形学校であり、これに端を発するデザイン運動のことです。この流れを汲むノモスには昨今の装飾過多な腕時計のデザインにはない、力強さとシンプルな美しさが宿っています。
さて、ノモスのもう一つの魅力といえば美しく仕上げられたムーブメントです。ドイツ時計産業の聖地として知られるザクセン州グラスヒュッテで再興したノモス社らしく、ドイツ時計伝統の3/4プレートを採用しています。ムーブメントをほぼ覆った耐久性に優れる仕様であり、ドイツ製のアンティークの懐中時計にも見られる頑固かつ郷愁を誘うデザインなのです。また、自動巻きと手巻き式の両ムーブメントに力を入れているところも機械式にこだわる証です。デザインとムーブメントの違和感のない絶妙な組み合わせこそが、ノモスの人気なのです。

ノモスの本社があるドイツ時計産業の聖地グラスヒュッテは、オーレ山地に囲まれた盆地に位置する小さな町である。

ノモスの本社社屋。

ライフスタイルに溶け込む、シンプルなデザイン

ノモスの腕時計は日本でも大変人気があります。しかも20代半ばから70代の男性を中心とした幅広い層に愛用されています。控えめなシンプルなデザインと、視認性の良さからビジネスの場にも最適で、第一線で活躍するビジネスマンにファンが多いのも特徴です。また、バウハウスの流れを汲んだデザインに共鳴するデザイナーやマスコミ関係者、自営業者にも愛されています。
ノモスはこれまで「タンジェント」をはじめ、スポーティーな「クラブウォッチ」、スクエアでモダンな「テトラ」などの人気シリーズを発表してきました。なかでも代表モデルの「タンジェント」(TN1A1W2)は1992年の発売以来、長きにわたって支持されています。機械式ムーブメントには汎用性に優れるETAムーブメントを使用していますが、独自に開発したパーツを丁寧に組み込み、さらにブラッシュアップさせることで高精度かつ美しい仕上がりを実現しています。また先述した近代デザイン史の上で重要視されるバウハウスの流れを汲んだシンプルなデザインも人気で、ノモスの腕時計のすべてにこのドイツらしいインダストリアルデザインが凝縮されています。その結果、オン、オフ問わずに着用でき、しかも服を選ばないコーディネートのしやすさなど、どんな腕時計よりも日常生活にフィットしています。この親しみやすさもノモスの魅力なのです。

さらなる高みにステップアップする新ライン チューリッヒ

2009年に発売された最新作「チューリッヒ」(Zurich)は、スイス北部にある最大都市チューリッヒの名に因んでいます。そんな国際都市を舞台に活躍するインターナショナルなビジネスマンをイメージしたデザインは、まさにノモスの最高級ラインにふさわしい佇まいです。これまで1992年のブランド再興時のデザインをブラッシュアップさせて継続してきたノモスの腕時計ですが、今作では外部デザイナーとコラボレーションするなど、ノモスの世界観をこれまで以上に拡大し、よりワールドワイドに通用するブランドに飛躍するための、最初のステップにふさわしい、力強さと高級感溢れるモデルになっています。
ケースデザインはハンス・ウエッツタイン氏、ダイヤルデザインはノモスの「クラブウォッチ」でお馴染みのカリン・ジーパー氏、そしてムーブメントはノモス社がそれぞれ担当しています。とくにハンス・ウエッツタイン氏はチューリッヒを拠点に活躍する世界的に有名なプロダクツデザイナーで、これまでベルリンのグランドハイアットホテルや、カッシーナの家具、ラミーの筆記具のデザインがよく知られています。ケースはベゼル、胴、裏蓋、リューズ、ラグなどの8つのパーツから構成され、直径39.7mmの、建築を思わせる立体的なボディがその存在感をアピールしています。ダイヤルはシンプルなアップライトインデックス仕様。シースルーバックからはムーブメントの精緻な動きを堪能できます。

お問合せ:大沢商会グループ TEL.03-5775-3932
http://www.josawa.co.jp/
ノモスの詳しい情報はコチラ→

文:倉野 路凡 / 写真(タンジェント):笠井 修