「わたしのバイヤー日記」
某月某日 ナポリにて

10時 ナポリ郊外、カサルヌォーヴォにあるサルトリア サビーノへ、アトリエにて生地選び。お父さんのパスクァーレさんの下で息子のミケーレと娘のアレッサンドラが実務を担当。イタリー人ファッション関係者に聞くと必ず、「最高!」という言葉が返ってくるクオリティ重視のメーカー。昔ながらの丁寧なつくりと芯地を使わないスポーティーなシルエットが他の製品では絶対に味わえない着心地を作り出す。 スコットランドの素材を中心にピックアップ、イギリスの固めの素材をナポリで柔らかく仕立てると程よい具合です。
ピッツァの昼食後、空港近くのサルトリア レオナルディへ。ここもお父さんお母さんと息子夫婦の家族経営。こういう小さいテーラーが沢山ありそれぞれ個性的なのがナポリの底力か。ここが得意なのは芯地や肩パットを使わない一枚仕立て。わざわざ別の生地屋さんからビンテージ生地を買って持ち込んでいる。小さいテーラーの難点は面白い生地が少ないこと。生地持込ができれば理想のものができる。仕上がりが楽しみです。
ナポリの最後は、ルカ ベルデッキオ、彼もテーラーだが私の目当てはシャツ部門。以前は別のブランドネームであったがシャツメーカーの跡取り娘のラファエラがルカと結婚した為、知らない間にシャツのネームも「ルカ ベルディキオ」に。ビックリしたが品物さえよければ、ネームにはこだわりません。ここのシャツも丁寧なつくりで着心地バツグン。特に気に入っているのは、ネクタイをしても第一ボタンをはずしても様になること。ワイドスプレッドカラーでは貴重です。

某月某日 フィレンツェにて

国際的な見本市であるピッティウォモには世界中のバイヤーが集まります。
10時 ボローニャのシャツメーカー、フライのブースへ。初日の朝一番は、必ずこのメーカーに立ち寄ることにしている。旧交を温めた後、早速サンプルをチェック。ドレスシャツが人気のメーカーだがあえて少しカジュアルなものを中心にオーダー。ここのボタンダウンはイタリーのシャツメーカーの中で一番好き。
12時 パルマのスラックスメーカー、ロータのブースへ。いつもお土産にパルメザンチーズをくれる。重いけれど大好物です。パルマ界隈には真面目でよいメーカーが多い。ここも仕事への姿勢は取引先の中で一番。もちろんスラックスも一番。
14時 ミラノのニットメーカー、フェデリのブースへ。ここの商品の色使いにはミラノを感じます。もともとクオリティには定評のあるメーカーだが、ここのところスリムなモデルも出してきてより日本マーケットに合うようになってきた。スポーツウェアなどにも良いものがあります。
16時 パルマのコートメーカー、カッパプント(K.)へ。少し控えめな色使いだがセンスは良い。クオリティ重視の商品がうちの店のテイストとも会う。少し値段が高めだがこれからのアウターウェアの柱になるかもしれない。
18時 ボローニャのシューズメーカー、ペロン エ ペロンへ。ここのシモーネ君とは話が合う。頼んでおいたプロトタイプを試着、いくつか改良点を話し合い。再度、作り直してもらう。エドワードグリーンと共にお気に入りの靴メーカーです。
ふーっと大きなため息をついて夕食へ。

某月某日 ミラノにて

10時 ステファノビジのショウルームへ。
ミラノのトップは必ずこのメーカー、ゲンを担ぐわけではないけれどネクタイを先に決めてしまうとジャケットやスーツの生地のイメージが湧いてきます。このタイメーカーは私が日本に紹介しました。こんなにメジャーになってチョットうれしい。
12時 フォーシーズンズホテルにてスティーレラティーノの展示会。ホテルは相変わらずスノッブな人々で溢れている。ラグジュアリーは好きだがスノッブは嫌い。コレクションは相変わらず良い。うちで最も売れるジャケットです。特にパターンが素晴らしく日本人の骨格に合う。「サルトリオ」と呼ばれて時代から数えると何シーズン買い付けをしているだろう。最も思い入れのある重衣料メーカーの一つ。
14時 チェーザレ アットリーニのショウルームへ。ナポリのメーカーだが商談はミラノで。やはりミラノの洗練された雰囲気はメンズファッションには不可欠。相変わらず生地のセレクションのセンスはピカイチ、ここのテイストは控えめで玄人好み、南イタリアのメーカーの中では最も洗練された大人の洋服です。

こうして見て来るとうちの取引先にはいくつかの共通点が、家族経営で小規模、色々なアイテムを作らず自分たちの専門分野に特化、人柄と仕事ぶりが真面目、等々。やはり私自身ブランド戦略を取っているメーカーの商品ではもう満足できなくなってきているし、やはりクオリティに比べ値段が高いと感じてしまう。物づくりへの姿勢にも大きな隔たりがあるし、せっかく個人でやっているのだから自分の好きなものを売りたいという気持ちが強いのです。
あとは良い仕上がりを期待して帰国の途に着くのでした。

さて8ヵ月後、オーダーした商品がイタリアやフランスから出荷されスティーヴに届きます。
届いた商品のラインナップはこちらから…

今回はスティーヴのオーナー石内氏のバイイングリポートを通して、そのこだわりが反映されたアイテムを紹介します。

Steve(スティーヴ)
〒150-0002
東京都渋谷区渋谷2-3-6 Seikou Bld.1F
TEL&FAX.03-5467-5475
Mail:steve@mh.point.ne.jp
営業時間:12:00〜20:00 店休日:月曜日
スティーヴの詳しい情報はコチラ→

写真:新城 孝