アンドレア・サセッティ氏 アンドレア・サセッティ氏に聞いたシルバノ・サセッティの魅力、そして未来

昨年('07年)12月、イタリアンブランド、シルバノ・サセッティのデザイナーにして総帥シルバノ氏の次男アンドレア・サセッティ氏が来日しました。そこでboqではワールド フットウェア ギャラリー 神宮前本店にて同氏へのインタビューを敢行。結果、この実力派シューファクトリーの知られざる魅力が明らかになりました!

「クラシックをベースに、 そこに斬新さを取り入れたのが サセッティ・スタイルなんだ」

boq(以下、b) アンドレアさんが靴づくりに興味をもったのは、いつ頃からですか?
アンドレア・サセッティ(以下、A) いつの間にかって感じかな。母が自宅で靴を作るのをいつも目にしながら育ったから、ごく自然に靴に興味をもったんだと思う。
b ああ、お母さまも靴職人でいらっしゃるんですね? アンドレアさんご自身はデザイナーですが、シューメイキングもなさるんですか?
A もちろん。プロトタイプは自分で作っているよ。製靴の技術は父に教わったんだ。16歳でこの仕事に就いてから、ずっとこのやり方だよ。
b シルバノさんもデザインをなさるんでしょう?
A いや、父はデザインはやらない、幸いにも(笑)。アドバイスはしてくれるけどね。僕がデザインを担当する以前は外部にデザインを頼んでいたんだけど、そのやり方だとどうしても独自性が出せないんだ。それで僕はシルバノ・サセッティのデザイナーに志願したわけ。
b では、アンドレアさんのデザインの発想の源泉とは何ですか?
A う〜ん、いろいろだな。トレンドも意識してるし、人とのコミュニケーションがヒントになることもあるしね。父をはじめ、いろいろな人たちからの意見を取り入れながら今のスタイルを確立していったんだ。
b 近年、日本にも多くのイタリアのシューズブランドが上陸していますが、そうした中にあって"シルバノ・サセッティらしさ"とは何だと思いますか?
A 父シルバノの世代がリアルタイムで体験してきた時代の靴を下敷きにしながら、そこに僕ら若い世代の感覚を加味しているという点が一番の特長だと思う。色とか装飾がアバンギャルドでも、どこかクラシックな佇まいがある。それが今のシルバノ・サセッティのスタイルなんだ。とはいえ、市場のニーズに対応しようという柔軟性も持ち合わせているよ。たとえばイタリア向けならモード色の強いモデルを、日本にはよりクラシカルなモデルを、というようにね。それともうひとつの大きな特長は、とても職人気質が生かされた靴だという点。モードであれクラシックであれ、どれもが細部まで職人の手仕事で作られている。アッパーの色付けなら、たとえば黒なんだけど、光の調子や角度でいろいろな色に見えるといった繊細なカラーは手仕上げじゃないと出せないんだ。

PROFILE

アンドレア・サセッティ氏 1984年11月生まれ。自宅で靴づくりに励む母親の姿を見ながら育ち、父シルバノからそのテクニックを学ぶ。デザイン学校を卒業後、16歳で父の会社に入社。デザイナーとして活躍中。趣味は社交ダンスとか

「靴のみならず、 鞄とか革小物、ベルトなども 手掛けていきたいね」

b 3年前から展開しているグッドイヤーフレックス製法(※)もシルバノ・サセッティ独自のものですよね?
A そうだね。うちはブラック製法もボローニャ製法もグッドイヤー製法もこなすけど、いまでは主力はグッドイヤーフレックス製法なんだ。特許も取得してるし…。
b あっ、特許も? そうですか。ところでグッドイヤーフレックスはデザインを限定する製法なんでしょうか?
A いや、特に通常のグッドイヤーと同じだよ。まぁ、たとえばエナメルシューズなどは細身のエレガントなスタイルに見せたいから、グッドイヤーやグッドイヤーフレックスじゃなく、コバの張り出しが抑えられるボローニャ製法とかで作っているけど。
b そういえば、以前、シルバノ・サセッティのボストンバッグを目にしたことがありました。あれもアンドレアさんがデザインを?
A うん。
b とても独創的で、しかも品があって好感をもちました。
A 本当に? ありがとう! 鞄は継続してやっていこうと思っているんだよ。あと、革小物とかベルトとかも手掛けていきたいんだ。
b 靴では何か新しい展開を?
A ファッショントレンドにアメリカ的なものが帰ってきてるので、そうした傾向の新作を近く発表するよ。アメリカンというか、'80年代のロンドンって感じかな。
b それはとても楽しみです。本日はどうもありがとうございました。

(注釈)
※グッドイヤーフレックス製法 基本的には通常のグッドイヤーウェルテッド製法と同じだが、インソールをより薄い革にし、ミッドソールにコルクに代えフエルトを採用。さらにインソールに接着する布製リブ(これが反りのよさを損なう要因のひとつとなる)のウォールを、製法した後にフラットに寝かし直すという手間を加える。これにより、通常のグッドイヤーと同様の耐久性を保ちながらも驚くほどの反りのよさ、履き心地のソフトさを可能にしている

(お問合せ)
ワールド フットウェア ギャラリー 神宮前本店
TEL.03-3423-2021
ワールド フットウェア ギャラリー WFG店
TEL.03-3796-8891
ワールド フットウェア ギャラリー 銀座店
TEL.03-3572-6811
http://www.wfg-net.com
ワールド フットウェア ギャラリーの詳しい情報はコチラ

文:山田 純貴 写真:新城 孝 デザイン:クラスターワークス