コーチ・ジャパン スペシャルインタビュー
CEOに聞いたブランドの"今"、そして"これから"
コーチ・ジャパン 代表取締役社長 兼 最高経営責任者
ビクター・ルイス氏
コーチの新展開に注目!

NY発のラグジュアリーブランド、コーチが今年、日本上陸20周年を迎えたことを記念して、書籍『コーチ 進化するブランド』が出版された。本年9月末からは、公式モバイルサイトをスタートさせ、さらに今後はメンズにも注力していくとの噂も! その真相を確かめるべく、コーチ・ジャパンの社長兼CEOのビクター・ルイス氏にインタビューを試みました。※以下、文中は敬称略。

書籍、モバイル、ネットも活用し、多角的に情報を発信

___日本上陸20周年と『コーチ 進化するブランド』の出版、おめでとうございます。
ルイス ありがとうございます。コーチの多彩なアイテムの写真がふんだんに載っていて、とてもお洒落な本になっているでしょう? コーチ・ファンの方々にぜひ楽しんでいただきたいですね。それと、あの本には20年前、横浜三越に日本初の店舗を開いてから、今日"アクセシブル・ラグジュアリー(手の届く高級品)"のリーダー的存在となるまでのコーチのストーリーが詳しく描かれていますので、ビジネスマンにはサクセスモデルのケーススタディにもなると思いますよ。
___先日はオフィシャルモバイルサイトも開設なさいましたね?
ルイス ええ。そのサイトでは製品情報やコーチストアの案内、ブランドの歴史などがご覧いただけます。また、待ち受け画面などを提供したり、携帯アドレスを登録していただきますと、新製品やキャンペーンなどの情報をいち早くお届けします。

___オンラインショッピングなどインターネットの活用については、どのようなお取り組みを予定なされていますか?
ルイス オンラインショッピングはもちろん検討しています。実は北米ではすでにEコマースを成功させているんですよ。ただし、オンラインでは商品の見せ方がとても重要なんですね。画面で見て気に入ったけれど、手元に届いたら自分に合わない、といったことは可能な限り避けなくてはいけませんから。現在、インターネットの日本語オフィシャルサイトとモバイルサイトには、ご自身の身長とハンドバッグのバランスを確認できる「コーチ フィッティングルーム」というシステムがあります。これは、あらかじめバッグのサイズを把握し、納得していただいたうえで、ショップで購入していただこうという試みです。
___それはユニークで良いアイデアですね。

懐かしいメンズのバッグは「コーチ by スペシャル リクエスト」で入手が可能!

___ところで昨今、メンズではアメリカンファッションの人気が回帰しています。コーチのグラブタンレザー使いのトラッドなメンズバッグも改めて注目されているのでしょうか?
ルイス そうであって欲しいと思っていますが、正直、十分とはいえません。以前は、メンズバッグはコーチのコレクションのなかでも有力なアイテムと認められていたのですが…。
___たしかに15年ほど前には「メトロポリタン ブリーフ」や「ビークマン ブリーフ」などがメンズ雑誌にしばしば紹介されていました。しかし、この十数年間はウィメンズ中心で展開されていたせいか、"メンズバッグとしてのコーチ"というイメージは後退してしまったように思います。
ルイス 実は、その「ビークマン ブリーフ」などグラブタンレザー製のトラッドなモデルの一部は現在「クラシック コレクション」として復刻されていて、「CbSR」すなわち「コーチ by スペシャル リクエスト」というシステムを利用して購入することができるんですよ。
___そのCbSRとは、どのようなものなのですか?
ルイス 簡単にいえばインストア・ショッピングガイドです。CbSR用の商品は店にはストックされておらず、お客さまには店が用意している専用のカタログをご覧いただきます。そしてオーダーしていただきますと、1週間ほどでその店にご希望の商品が届くので、お客さまはお好きなときにお引き取りに来ていただく、というシステムです。昨年7月にスタートさせ、大変好評をいただいています。
___なるほど。それを利用すれば、懐かしいコーチが入手できるわけですね?
ルイス はい。CbSR掲載のメンズバッグにはそうしたクラシックなモデルのみならず、モダンでカジュアルなバッグも用意しています。カメラバッグもあるんですよ。

ルイスさんイチオシのコーチはビジネスにも使えるトートです!

___そのほかにメンズで、どのようなお取り組みがありますか?
ルイス 実はこの1年ほどの間、メンズ商品の見直しに取り組んできました。さまざまなリサーチを行い、ニーズを適切に把握しようと試みています。十数年前、コーチのメンズバッグがどのように日本の男性に受け入れられていたのかについても分析を行いました。
___今でも、街や電車の中で使い込んだコーチのブリーフケースを大事そうに手に持っているビジネスマンを見かけます。
ルイス 弊社のリペアセンターにも、そうしたバッグが持ち込まれます。メンテをしながら、皆さん、末長く使ってくださる。本当にありがたいことです。また、そうしたニーズにさらにお応えできるよう、メンズにより一層注力していき、「コーチにビジネスバッグが戻ってきた!」と言われるようにしたいですね。実はニューヨークでは、来春に初のメンズ・オンリーの店がオープンする予定です。日本でも将来、そうした店を展開することができることを夢見ています。

___それは、とても楽しみですね! ぜひ実現してください。
ルイス はい!(笑)。日本の男性はモノに対して細かいこだわりをお持ちでしょう? したがって見る目も厳しい。だからこそ、1個々々手仕事でていねいに製作されたハイクォリティなコーチの製品は、きっと気に入っていただけるものと思っています。また、例えばグラブタンレザーは使い込むとツヤや風合いが深まっていきますが、これなども日本の男性の志向に適った素材なのではないでしょうか? 
___そう思います。最後に、ルイスさんがお使いになっているコーチ製品を教えていただけますか?
ルイス ええ。まず、外づくりにバケッタレザーが使われた財布ですね。バッグは10個所有していて、そのうちの8個はトートです。今日、こちらに持ってきた、クロコダイルのトートも、そのうちのひとつですね。私はもともと、仕事ではトートは使っていませんでしたが、コーチに入社してから、その魅力に目覚めました(笑)。コーチのトートは使いやすくて、書類などの出し入れがとてもスムーズであるなど、本当に実用的です。
___ルイスさんのお薦めはトートですか?
ルイス はい。昨今、ライフスタイルのカジュアル化が進み、ビジネススタイルにこうしたカジュアルなバッグを合わせても、さほど違和感がなくなってきました。また、昔と違い、日本の男性の間に自分の持っているモノで楽しみたいという志向が高まっています。ですから、カチッとしたビジネスバッグも魅力的ですけれど、ときにはトートバッグもありでは、と思うんです。
___そのとおりだと思います。本日はお忙しいなか、貴重なお話をありがとうございました。

ビクター・ルイス(Victor Luis)氏
1966年生まれ。'88年、米マサチューセッツ州ホリー クロス大学を卒業し、政治学学士号取得。'90年、英ダラム大学を卒業し、国際経済学修士号取得。'91年、ポルトガル・トレード・コーポレーションのディレクターとして東京勤務。'95年、LVMH ヘネシー・ルイヴィトングループに移り、'00年から2年間、同グループ傘下のジバンシィ ジャポンのプレジデント 兼 最高経営責任者を担う。さらにバカラ・インクの北米担当プレジデント 兼 最高経営責任者を経て、'06年、コーチ・ジャパンの代表取締役 兼 最高経営責任者に就任。手にしているバッグは、愛用の「クロコダイル トート」。

この1冊でコーチの"進化"&"真価"が全てわかります!
『コーチ 進化するブランド』
小学館刊 1,680円(税込)/全国主要書店にて発売中

日本上陸20周年を記念し、去る9月16日、ブランドの全貌をまとめた書籍『コーチ 進化するブランド』は発行されました。
全体は大きく4部で構成されており、第1部では、1941年にマイルズとリリアンのカーン夫妻がマンハッタンのロフトに開いた小さな皮革製品の工房がワールドワイドに展開されるラグジュアリーブランドへと成長していく過程をなぞり、このブランドの全容を俯瞰します。また、過去20年間の日本市場におけるコーチの発展史をリアルにレポートする第2部は、この1冊の主部というべき内容。バブル崩壊後、売り上げが停滞するなか、斬新なマーケティング手法を編み出し、輸入バッグ市場で第2位のシェアを獲得するまでの日本人スタッフの奮闘ぶりが描かれます。また、第3部では5つのキーワードを提示し、それらを通してコーチの魅力と特徴を平易に詳解。付録的な位置づけとなる第4部では米国コーチ・インクの会長 兼 CEOのルー・フランクフォート氏や、本サイトでインタビューに応じてくださったビクター・ルイス氏らコーチのキーマン8名のスペシャルインタビューで構成されます。
と、こう聞くとブランド戦略を講じた、少々お堅いビジネス書というイメージを抱いてしまいますが、ページをめくってみれば、むしろファンブックというべき内容で、コーチの名品の数々やそれらを身にまとうモデルたち、デザイナーによるデッサン、過去の広告など多数のビジュアルがちりばめられ、眺めているだけでも十分楽しめるのです。したがってコーチ・ファンや鞄好きにとって必見であるのはもちろんのこと、アート本としてもお薦めできますし、ビジネスマンには"柔らかい"ビジネス書として役立てることができるでしょう。
通読してみますと、コーチというブランドが、ラグジュアリーではあるものの敷居の高さをさほど意識させず、ちょっぴりフレンドリーで人間味ある存在に思われる、その"秘密"がきっと見えてくるはずです。

取材・文:山田 純貴 人物写真:新城 孝 協力:コーチ・ジャパン www.coach.com