BOQ > 連載 > Shop Around > Archive > ORTUS

ORTUS

2014年8月31日
オルタス

世界が認めるハンドメイドオーダーバッグ!

「銀座」の名が付く住所でも、昭和通りの東に入ると昭和の匂いが残る懐かしさを感じさせてくれます。駅で言えば有楽町線の新富町と浅草線の宝町のほぼ中間くらい。首都高の京橋ジャンクションからもほど近いビルの2階にあるのが、今回訪れたバッグの工房・ORTUS(オルタス)です。

 

オルタスを主宰する小松直幸氏の経歴は、鞄職人のエリート街道まっしぐらと言うべきものでしょう。当時渋谷にあった(現在は池袋)Fugee(フジイ)にて手縫いのビスポークバッグ職人の第一人者・藤井幸弘氏のもとで8年研鑽を積み、2008年に中学時代の友人だった靴職人・高野圭太郎氏と共に「クレマチス銀座」を開店。靴と鞄の双方がオーダーできる店としてスタートします。そして、クレマチスの人気とともに次第に手狭となり2012年に小松氏が独立するかたちで誕生したのが、このオルタスです。

 

妥協なき手仕事が生み出す存在感

 

小松氏がこれまで関わった店舗と同じく、オルタスのバッグも既製品はなくすべて受注生産品。その構成は、店頭にあるサンプルをベースに大きさ・革・ステッチ・内ポケットの数などをアレンジする「オリジナルオーダー」と、顧客の要望に基づきデザインをゼロからおこす「フルオーダー」とに分けられます。双方に品質や手間のかけ方に差はなく、すべて総手縫い。フルオーダーはもちろんのこと、オリジナルオーダーであっても内容次第では仮縫いチェックの工程をとり入れるのも大きな特長でしょう。

 

持ち手は使い心地と耐久性を考慮し、表装の革、芯材も革のみで手縫いで作成します。用途や好みに合わせ、薄さも都度調整する徹底ぶりです。経年で品質の差が現れやすい端部(コバ)の部分は、ヒビや剥離を防ぐために顔料ではなく布ノリや蜜蝋で仕上げます。また錠前などの金属パーツには、メッキをかけず無垢を用いるのもオルタスのポリシー。金属板から削り出して製作するものか、インポートの金具を分解しメッキを剥がした後に再整備したものから選択できます。どちらも手間を存分にかけた分、存在感があり手縫いの鞄にしっくり調和するのが魅力です。

 

これだけ妥協なく創り上げられるオルタスのバッグですが、どの作品を見ても、ことさら手縫いを主張した箇所がなく、品良く落ち着いた佇まいに驚かされます。何かを尽くしたもののみにしか得られない、自然で澄み切った表情。だからでしょうか、最近では納品と同時に次のオーダーを入れるリピーターが続出しているとのことです。目下、発注から完成まで平均19か月と大分時間がかかってしまうようですが、長い間待つだけの価値があるのは間違いありません。

 

軽快なものから重厚なものまでお好み次第

 

小松氏によれば最近人気のあるデザインは、トートバッグやクラッチバッグとのこと。ビジネスウェアとカジュアルウェアの垣根がなくなりつつあるなか、汎用性が高いのは確かにトートバッグの類ですし、最小限の携行品での通勤には薄く小振りなクラッチバッグが好都合。革もブライドルレザーのようなハードな印象のものより、やや柔らかさを感じるものの方が人気だそうで、この辺りは近年の「仕事」の変化も大いに影響しているのでしょう。

 

その一方で、沢山の書類を持ち運ぶ必要のある職業、例えば弁護士の方には底面を補強した1室構造のダレスバッグも根強い人気があるそうです。いかなるケースにも対応してくれるのが、受注生産ならではの強み。実際、顧客との会話のなかでデザインや構造の新たなアイデアが生まれることが以前より多くなっているそうで、顧客のリクエストが技術の更なる深化に繋がっているようです。

 

小松氏の人柄に海外のファンも増加中!

 

最近は2010年に創業した注目の香港のセレクトショップTHE ARMOURYで定期的に受注会を催すまでになっています。
この香港での受注会は小松氏に大きな刺激になっているようです。デザインも革選びも彼らは即断即決。細かい仕様もお任せで、あれこれじっくりご検討いただける日本のお客様とは対照的です」出身国別でも内容が明確に異なるそうで、「英国文化圏の方は判を押したようにロンドンタン色のブライドルレザー(笑)。様々なバッグを同じ種類・同じ色の革で揃えるのにオーダーの醍醐味を感じるみたいです。一方、色で個性を表現するのに長けているのはイタリアとフランスの方。どちらも靴の色にあまり合わせようとしないのが、日本のお客様との大きな違いです」

 

と言うことで、内外での経験をふまえバッグのオーダーが上手くいくコツを小松氏に教えていただきました。「まず、どのような服装で、このバッグに何を入れ、どこに運ぶのかを起点に考えるのがおすすめです。それが明確だと、デザインや大きさ、それに革の種類や色は自然に決まってゆきますので」 例えばこのディテールは足すべきか? 逆に削るべきかなど、わからないことがあっても会話や仮縫いを通じ適切にアドバイスしてくれます。「“飾っておく鞄”ではなく何十年も使うための“実用品”を作らせていただく訳ですので、長期的な視野を持つことが肝心なのです」

 

ちなみにORTUSとは「日の出」「東方」を意味するラテン語。西洋で生まれたバッグを東の地で進化させる想いで小松氏が命名したものです。「三年前のものより今の作品の方が品質は確実に向上しています。でも、その分新たな課題も見えてくるもので、それを一歩一歩乗り越えて行かなくては!」

 

細身の身体で謙虚に語る小松氏には、間もなくその実力を更に知らしめるチャンスがやって来ます。ヒトもモノも世界の最高峰が集まる街・ニューヨークで初の受注会に臨むのです。ヨーロッパのブランドばかりがもてはやされるなか、オルタスのバッグがそれらに十分通用する、いや、もはやそれらを軽く飛び越えていることに世界のエスタブリッシュメントが気付くのはもう、時間の問題です。

オルタス

英国製のブライドルレザーを用いたフラップオーバー型のブリーフケースHAZEL(ハーゼル)。オーダーだからこそ継承出来たトラディショナルな風貌と構造。サイズ415/300/85。2室。これと同じ仕様で35万円(税抜)。

 

オルタス

揉み加工されたイタリア製のアリゾナレザーを用いたMIMOSA(ミモサ)。トートバッグを思わせる縦型のソフトなフォルムはオン・オフ双方に使えそう。サイズ370/350/120。1室。これと同じ仕様で31万円(税抜)。

 

オルタス

こちらもブライドルレザーを用いたシンプルなクラッチバッグCALTHA(カルタ)。経年変化に個性が出やすいロンドンタン色は、指名で来る顧客も多いとか。サイズ380/265/30。1室。これと同じ仕様で18万5000円(税抜)。

 

オルタス

同じCALTHAでも革をフランス製のボックスカーフに変えると、瀟洒な雰囲気が全面に出る。「これを一回り小さく」などのオーダーも、もちろん可能。サイズ380/265/30。1室。これと同じ仕様で22万円(税抜)。

 

オルタス

先日サンプルが完成したばかりの最新作はワンショルダーバッグ。革は傷が付いても目立ち難いドイツ製のワープロカーフを使用。これなら男女兼用も可能だろう。休日にサッと担ぐのが究極の贅沢!(価格未定)。

 

オルタス

 

オルタス

 

オルタス

 

オルタス

 

オルタス

 

オルタス

 

オルタス
 
  • ORTUS(オルタス)
  • 〒104-0061 東京都中央区銀座1-24-5 パークサイド銀座2F
  • TEL.03-5579-9210
  • 営業時間 11:00~18:30 火曜定休
  • www.ortus-bag.com
 
 

onlineshop