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カキモリ

2014年8月2日
カキモリ

「書くこと」のきっかけを創り出す、下町の新たな名店

台東区の浅草橋と浅草の間にある蔵前は、昔から文具やおもちゃ関連の問屋や小さな町工場の多い伝統的な下町。しかし最近は東京の隠れたグルメスポット、そして洒落た雑貨店の集まるエリアにもなり始めています。

 

今回訪問した「カキモリ」は、そんな元気の良いこの地域を代表するお店。開業は2010年11月とまだそれほど年月は経ってはいないものの、今や国内外の文房具好きが東京を訪れる際にハズセない存在になっています。

 

ありそうでなかった「ノートのオーダー」

 

自分だけの仕様でオリジナルのノートが作成できる… これまでどこの文具店にもありそうで実はまったく存在しなかったこのサービスが、カキモリの名を一躍有名にしました。そう、スーツやシャツをオーダーするのと似た感覚でノートを、しかも一冊から仕立ててくれるのです。

 

選べるのはサイズ・表紙と裏表紙・中紙・リングの色そして留め具。ノートの顔=表紙は厚紙や革など約60種類が用意され、季節感を全面に出した限定品も扱います。表紙と裏表紙とを異なるものにも当然できますよ。リングの色は5色、留め具も使い道に応じて4種類の中から選べ、店内で丁寧に手作りされます。

 

表紙と中紙の種類に圧倒!

 

肝心かなめの中紙も紙質で12種類、無地・罫線・方眼・ドットなど細かな形式まで数えると実に30種類以上! 某銀行の帳簿用紙として開発されたものや有名な手帳も採用する薄さの割にインクの滲みが少ないもの、変わったところでは鉛筆との相性に優れた選挙の投票用紙や写真アルバムの台紙なども揃います。

 

サイズは原則大学ノートのサイズ=B5かその半分のB6で、もちろん縦長・横長双方に対応し、追加料金を払えばB5サイズ以下なら例えば正方形などサイズの特注もできます。

 

ノートを「育てる」感覚が醍醐味

 

どれを選ぶべきか楽しく迷ってしまいますが、一つのノートで中紙は4種類まで選べるので、初めてのオーダーでは気になるものを複数選ぶのがおすすめ。

 

と言うのも、リングノートは表紙・裏表紙のリユースができるので、使いながら、自らの好みの中紙を絞り込んで行けばよいからです。中紙の交換にも有料で応じてくれます。

 

そうです、ウェルテッド系の製法の靴をオールソールリペアするのと同様に、使い捨てではなくノートを「育てる」ことができる訳です。因みに作製時間は通常サイズで約10分。そのまま持ち帰れるのも嬉しいところです。

 

「試し買い」しやすい容量のオリジナルインク

 

カキモリを語る上でもう一つ欠かせないのが、万年筆用のオリジナルインクの存在です。開業時から各メーカーのボトルインクは色々と扱っていましたが、大抵のものは容量が大き過ぎ、特に万年筆の初心者の方には「使い切れるかな?」とハードルが高いものです。

 

一方で様々なインクの「色」に魅せられて万年筆に興味を持つ人が近年急速に増えていることから、この店オリジナルのものを通常のボトルインクの半分程度の33mlで昨年末に売り出したところ、こちらもあっという間に看板商品となりました。確かにこの量ならば、例えばちょっとしたプレゼントなどに最適かも?

 

その場で調合するスペースも間もなくオープン

 

ベースはアメリカのインクブランド・Private Reserveのもの。彼らの公認のもと、色の表現力に優れ混色もできるインクをブレンドして19色が揃います。色彩は細かなニュアンスに富み、しかも日常の生活に使いやすいものばかりで、さらには容量が小さいことも災いし(笑)、万年筆好きの私はこちらもついつい何色も買い込んでしまいます。

 

なおこの8月の下旬には、それぞれのお客様の要望に応じたインクをノートと同様にその場で調合・販売する“ink-stand”を現在の店舗の隣に開設予定。着々とより広い要望に応える体制に進化しています。

 

蔵前だからできる無二の品揃え

 

店主の広瀬さん曰く「文房具、特に筆記具に興味を持ち始めた方や持ち始めたい方に、書くことのきっかけを作る場がカキモリだと思っています。なので『書く道具』の裾野を広げることを常に考えて商品を選び、提供できるよう心掛けています」。

 

ノートの中紙への罫線の印刷など細かな調達を全て店舗周辺で行える、正に地の利を最大限に活かしたユニークな品揃え! その噂は国境を越え、最近は海外からのお客様も数多く訪れます。実際、取材時にもはるばるトルコからいらした方が…… そして皆さん必ず、こう口にするのだそうです「こんなお店、自分の国では絶対にできない!」

 

紙とペンから、モノとの関わり方が見えてくる

 

ノートや筆記具の販売だけでなく、それらの選択の相談にも気軽に乗ってくれるのは何とも心強い限り。今後はレター系のグッズも強化してゆきたいそうです。

 

普段使いのものを、自らの用途に合わせてオーダーできたりこだわれたりするのって、実は究極の贅沢ではないでしょうか。それが簡単に実現できるカキモリは、単に文房具好き・筆記具好きの人ばかりでなく、これからの「モノとの関わりかた」「日本からのモノの産み出しかた」に興味がある人にこそ、刺激に満ち溢れた空間です。

カキモリ

同じ方眼用紙でも紙質には様々な種類があるのを知るだけでも驚き! 写真左から銀行の帳簿用紙向けに開発されたバンクペーパー、イギリスの伝統的な紙を再現したフールス紙、某有名手帳の紙として一躍人気になったトモエリバー。最初のオーダーでは色々混ぜて使い心地を試すのがおすすめ。

 

カキモリ

飯野も試しに作ってみました! 立ったままでメモできることを考慮しサイズはB6横とし表紙は厚めの紙。親指でノートがしっかり固定できるようリングは全留めではなく上下留め。中紙は上記の3つの方眼。この仕様で1冊1,546円(税抜)。あくまで目安だがB6なら1,851円(税抜)、B5なら2,777円(税抜)あれば大概の仕様で作成できる。

 

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カキモリ

発色の良さで定評のあるアメリカ・Private Reserve社のものを独自にブレンドしたオリジナルインクは33mlと通常のボトルインクに比べ少量なので、ついつい何色も試したくなる!全19色。1瓶税込890円。なお、ベースとなる13色も1瓶750円(税抜)で販売している。

 

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  • カキモリ
  • 〒111-0051 東京都台東区蔵前4-20-12
  • TEL.03-3864-3898
  • www.kakimori.com
  • 文:飯野 高広
 
 

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