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ミタケボタン

2014年6月21日
ミタケボタン

銀座で出会える「ボタンの小宇宙」

銀座通りの脇を入ってしばらく行ったところにたたずむ、雰囲気のある古いビル。エレベーターで4階に上がると目の前に、お洒落の醍醐味がギュッと凝縮された空間が広がります。そこが今回訪問した「ミタケボタン(MITAKE BUTTONS)」。その名のとおりボタンをメインに取り扱い、その数は大きさ・色まで区別すれば1万種類を超えてしまう、文字通りボタンの小宇宙を堪能できるお店です。

 

歴史が育んだセレクションは、まるで博物館

 

ミタケボタンは戦後すぐにこの地で創業。今でこそ海外ブランドの直営店が軒を連ねる銀座界隈ですが、昭和のある時期までは婦人服のオートクチュールのアトリエが数多く存在し、ボタン、特に装飾性豊かなものの需要が高いエリアでもありました。店内にはそんな時代に主にヨーロッパから仕入れた、今となってはとても貴重なボタンも残っています。

 

思わず見とれてしまうようなものは、天然石などと同じく、観賞用として買われる方もいらっしゃるのだとか。もちろんメンズのボタンも、水牛や白蝶貝から作られたベーシックなものでも仕上げが微妙に異なるものが取りそろえられ、繊細な彫りに思わず圧倒されるメタルボタンなどあらゆるボタンが豊富にそろっています。著名なテーラーやシャツ店など、紳士物のオーダーをあつかうお店や修理業の顧客が多いというのもうなづけます。

 

ボタンニスト・小堀さんの接客も魅力

 

現在ミタケボタンの店舗を切り盛りするのは三代目の小堀 孝司さん。名刺をいただくと役職名に代表とか店長とかではなく「ボタンニスト」と書かれているところに、家業への並々ならぬ愛情とプライドを感じ、その応対は極めて紳士的。季節のみならず服やシルエットの流行と共にボタンを長年見極めて来られただけのことはあり、落ち着いた物腰でその服に最適なボタンを親身になって選んでくれます。

 

「裏地や芯地など服の『付属品』と呼ばれるものの中で、唯一外に露出しているのがボタンです。だから機能性と見栄え、どちらも大切なのです」と話してくれる小堀さん。しかし、何も主張の激しいボタンばかりが最良と考えている訳ではありません。服にしっくり馴染むか? その服と「居心地の良い関係」がたもてるか? この視点をもってボタンを提案してくれるのが心強いかぎりです。

 

“付け替え”をもっと愉しんで欲しい

 

一方で小堀さんはボタンにまつわる現状に危機感をいだいています。「今は既製服に初めから付いているボタンを闇雲にありがたがる向きが強過ぎる気がします。かたや、コスト面で折り合いのつかなくなった、でも実は服飾史を語る上でも絶対に欠かせないようなボタンの製造技術が、少しずつ失われているのです」

 

婦人服のオートクチュールが銀座で盛んだったころは、ボタンの付け替えを通じて服に新たな生命を吹き込むのが当たり前のたしなみだったそうで、そんな「粋」を復活させたい… 小堀さんの想いが素直に伝わっているのでしょう。白を基調にした開放的な内装も相まって、近年ではカップルで来店されて互いにあれこれ悩んだり、一般の男性がボタンを探しに一人で来店するケースも増えているそうです。

 

ボタンを選べば服にもっと愛着が湧く!

 

「服に合ったボタンを見つけるには?」小堀さんにたずねると、待ってましたとばかりにこう答えてくれました。「実際に着用される方が、付け替えをしたい服を店に持っていらしていただくに尽きます。服地の色や厚みだけでなく、ボタンホールの大きさ、服の用途、そして着る方の雰囲気などでベストチョイスがいくらでも変化するからです。」たとえばボタンの径はあっていても、その厚みによってはボタンホールが通らない場合もあるので、実際の服をチェックしたほうが良いのだとか。

 

「色々なボタンを服に乗せてみてください。『あっ!』と歓声が上がるような、予想できなかった素晴らしい組み合わせに出会えることも多いですから」と分かりやすく話してくれる小堀さん。ボタンニストの想いがぎっしり詰まったミタケボタンは、ボタンとの付き合い方だけでなく、服との本来の付き合い方まで何気なく教えてくれるお店です。こんな時代だからこそ、お洒落好きならぜひ訪れてみることをおすすめします。

ミタケボタン

日本のメーカーと共同で作成した、昔の製造技術を再現したコート用メタルボタン。馬のたてがみまで緻密に表現されていて存在感に圧倒されること確実。真鍮製なのでどのように経年変化するのかも楽しみ。27㎜。1個2,400円(税抜)

 

ミタケボタン

遊び心満載のスカルボタン! 小さい方はシャツの胸用で、大きい方はジャケットの袖用。どちらも1つだけ取り換えて素知らぬふりをしているのが粋だとか。白蝶貝・黒蝶貝製。小1個700円(税抜) 大1個1,200円(税抜)

 

ミタケボタン

赤は1970年代の英国製の七宝ボタンセット。ここまで凝った仕上げはもはや幻のモノ。濃紺のダブルブレストブレザーに付けたい! セットで6万8000円(税抜)

 

ミタケボタン

金のセット2つは1981年のチャールズ皇太子・ダイアナ妃ご成婚記念のモノ。歴史的意味合いを考えると、もはや非売品であるのはやむなしでしょう。

 

ミタケボタン

服地と同じ表面を備えた通称「クルミボタン」を製造するための機械。生地を持ち込めば今でも実際に作製してくれます。加工賃などはボタンニストにご相談を。

 

ミタケボタン

 

ミタケボタン

 

ミタケボタン

 

ミタケボタン

 

ミタケボタン
 
  • MITAKE BUTTONS(ミタケボタン)
  • 〒104-0061 東京都中央区銀座1-5-1 第3太陽ビル5F 501
  • TEL.03-3563-0061
  • 文:飯野 高広
 
 

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