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CROCKETT & JONES

2014年3月22日
ベルルッティ/アンディ

高級“黒スト”選びの筆頭株は
クロケット&ジョーンズの「オードリー」です!

メダリオンなどの穴飾りやピンキング(ギザ飾り)などが施されていない内羽根式のストレートチップ、すなわちキャップトウオックスフォード(日本では「一文字」などと通称されることも)のうち、黒タイプは英国靴を最も象徴するデザインとされ、ビジネスにはもちろん、冠婚葬祭にも違和感なく履くことができるベーシックシューズともいわれています。

 

したがって、ビジネスマンならずとも所有しておきたい靴の筆頭であるわけですが、いわゆる高級靴の中からどれか1足をといった際ですと、どうやら多くの人が今回ご紹介のクロケット&ジョーンズ「オードリー」を候補のひとつにしている模様です。キャップトウオックスという簡素極まるパターンでありながら、ほんのり色気が感じられる。この匙加減が秀逸で、それが靴好きの洒落心を魅き付けているのでしょう。

 

トウに見られる複雑だが絶妙な形状

 

人気モデルの「オードリー」は、素材の選択から仕上げにいたるまで全ての製靴工程において高い技術力と、モノ作りに対する誠実な姿勢がうかがえる傑作です。さすがは「ハイグレードライン」にカテゴライズされる一作であるわけですが、では、パターンはごく基本的であるにもかかわらず、なぜこのモデルにはある種の色気が備わっているのでしょう? 

 

実は、その最大要因は木型「337」にあります。トウボックスにわずかな膨らみをもつ、いわゆるエッグトウであるのは英国靴の伝統を継ぐものですし、捨て寸もほどほどゆえ、特にロングノーズの印象はありません。また、甲はやや高く、どちらかといえば丸みが強調されたシルエットでもあります。にもかかわらず全体的にシャープでモダンに見えるのは、まず、ボールジョイント(指の付け根)からトウにいたるアウトラインが直線的で、しかも、その部分のウォールがラウンドながら垂直に近い角度で屹立していること。

 

また、エッグトウながら、その丸みを保ちつつ前方に向かって緩やかに傾斜する、いわゆるラウンドチゼルトウであることや、そのトウを真上から見たとき、トウ自体はラウンドシルエットであるのに、そこを取り囲むコバがセミスクエアであること……。と、複数の形状が複雑かつ繊細に組み合わさることで、伝統的な英国靴とはひと味違う、ある種の色気を醸し出す小粋靴になっているのです。

 

英国の端正×フランスの洗練のミクスチャー

 

この「337」は、クロケットとクロケットのパリ支店の共同開発によって誕生した木型だそうで、それゆえに「パリラスト」の通称があります。つまり英国のオーセンティックなフォルムに、フランスの洗練された感性が融合したことで、端正だが、なんとも粋なキャップトウオックス「オードリー」が誕生した、ということなのです。

ベルルッティ/アンディ横

真横からトウのシルエットを確認すると、わずかに膨らみを帯びたエッグトウでありながら、そこから先端に向けて傾斜するラウンドチゼルトウでもあることがわかる。

 

ベルルッティ/アンディ真上、ソール

左/コバのシルエットからスクエアトウかと思いきや、実はラウンドシェイプのトウなのである。右/本底の革には、堅牢だが反(かえ)りのよい欧州産オークバークを採用。

 
  • クロケット&ジョーンズ/オードリー 7万6000円(税別)
  • トレーディングポスト青山本店 TEL.03-5474-8725 tradingpost.jp
  • 文:山田 純貴
 
 

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