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J.M. WESTON

2014年2月19日
641 ゴルフ オックスフォード スエード

ジェイエムウエストンの傑作「ゴルフ」は
高級カジュアルシューズの先駆的存在です

ビジネススタイルのカジュアル化が浸透しつつある現在、高級インポートシューズの世界でもカジュアルモデルは珍しくありませんが、では「20年前は?」といえば、そうした靴は決して多くなかったのです。そんな時代、カジュアル靴としては大変ラグジュアリーなウエストンの「ゴルフ」がファッション高感度の高い人々の間で愛用されるようになっていきました。また、’90年代半ばにUチップブームがありましたが、振り返ればその口火を切ったのは、実は「ゴルフ」の日本上陸だったのではと気づくのです。

 

たゆまず高品質を追求するウエストンの哲学

 

フレンチシューズの名門、ジェイエムウエストンは1927年にブランシャール社(1891年、パリ近郊リモージュにてエドワール・ブランシャール氏が創業)がパリに直営店を開業した際、ハウスブランドとして誕生し、以後、不動のステータスを堅持。コンフォタブルな木型と細部まで計算されたデザインの絶妙なバランス、トップグレードの革の、それも最も良質な部位のみを使用するという素材に対する厳格な姿勢、伝統に根ざした高度に卓越した製靴技術、4mmピッチ設定(普通は5mmピッチ)のサイズと数段階のウィズなど、そのモノづくりの姿勢と顧客重視のブランド哲学は揺るぐことなく今に続いています。そしてウエストンをウエストンたらしめる、こうしたエッセンスは、カジュアルではあっても例外なく、この「ゴルフ」にもうかがうことができるのです。

 

カジュアルUチップの頂点に立つ名靴

 

日本では本格上陸以前の’80年代、一部の人々にその存在が知られるようになった「ゴルフ」ですが、本国ではすでに1950年代に登場。意外にも歴史ある靴なのです。また、この通称が示すように元来はゴルフ用で、スパイクに代え、独自のラバーソールを備えた点を最大の特長にしています。「リッジウェイソール」と呼ばれる、この底材は100年ほど前にフランスの大手タイヤメーカー、ミシュランが開発したものとかで、グリップ力やクッション性、耐摩耗性に優れるほか、釘を踏んでも突き抜けにくい頑強性や、温度差にも変化しない硬度などを特性にしています。

 

また、デザインでは外羽根式である点や、グッドイヤー製法のアウトステッチが靴を全周するオールアラウンドステッチである点から、カントリーシューズの伝統もうかがえます。さらに、ウエストンの他のモデルにも共通する点として溝切り式があります。グッドイヤーではすくい縫いの際、中底にリブテープを接着しますが、ウエストンは中底を甘皮状に切り起こし、そこにすくい縫いを入れています。普通、ハンドソーンウェルテッド製法で駆使される、この伝統的な溝切り式をレディメイドに採用しているとは驚きます。そしてこれにより、グッドイヤーながら履き始めから反りがよく、足に即馴染む靴が出来上がるわけなのです。

 

ところで「ゴルフ」はジャーナリストシューズなどとも称されます。これは、かつて本国でジャーナリストら御用達の定番靴になったことに由来。日本でも、パリに渡った某国営放送のスタッフがそれに倣って以来、業界内外に愛好者が増えたと聞いています。ラフなスタイルでハードに仕事をこなす彼らにとり、カジュアルで頑強な「ゴルフ」は、まさにうってつけの靴であったに違いありません。

641 ゴルフ オックスフォード スエード横

オイルスムース調の「ルシアンボックスカーフ」タイプがよく知られているが、本品は起毛が織りなす階調が美しいスエード製。春の軽快な装いに合わせたい。

 

641 ゴルフ オックスフォード スエード真上、ソール

木型はイマドキなややポッテリとしたシルエット。本底に採用されているリッジウェイソールのパターンは「Weston」のイニシャルをモチーフにしたもの。

 
  • J.M. WESTON(ジェイエムウエストン)
  • 641 ゴルフ オックスフォード スエード 10万2000円(税抜)
  • お問い合わせ:ジェイエムウエストン青山店 TEL.03-6805-1691 www.jmweston.com
  • 文:山田 純貴
 
 

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