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EDWARD GREEN

2014年2月5日
エドワード グリーン/チェルシー

エドワード グリーンの「チェルシー」に使われる
「202」が傑作ドレスラストと謳われるワケとは?

今でこそ英国靴ブランドのなかで一目置かれる存在のエドワード グリーン(1890年、エドワード・グリーン氏により創業)ですが、この地位へと導いたのは、1982年にこのノーサンプトンの老舗を買い取り、再建に努めたシューデザイナーの故ジョン・フルスティック氏によるところが大きいのではないでしょうか。たとえば製品についても、それまでの木訥としたものが、より洗練されたスタイルへと変化しています。ことに’80年代に同氏自らが開発した木型の旧「202」、およびその後継として’90年代半ばに生み出された現行「202」は造形の美しさが際立ち、かつずば抜けて優れた履き心地が相まって、靴史上、最も完成された木型と讃えられることとなったのです。

 

最上の素材&高い技術力が生み出す“快適感”

 

ここでキャップトウオックスフォードの白眉「チェルシー」の「202」採用タイプを例にとり、この木型を検証してみましょう。まず、トウがインサイドに屈曲した、いわゆる内振りのシルエットであることに気づきます。しかも親指の付け根部分が外側に適度に張り出しているので、靴全体の印象はスマートでも、意外に甲幅があり、したがって幅広の足にもよく合います。また、靴を前方から見ると、左右の羽根革が接するラインが履き口に向かってアウトサイドに傾いていることが判明。すなわち、この木型は内振りであると同時に内ひねりと呼ばれる、人の足形により適った形状であるのです。

 

真横からはどうでしょうか。まず、既製靴ながら、内踏まずが大胆に吊り上がっていることがわかります。これにより、土踏まずのアーチがソフトに支持されるのです。また、ヒールカップのアウトラインが美しい流線を描いていますが、これも履き心地に大きく寄与するもの。ここまで複雑な立体形状に成型するには革の成型作業、すなわち吊り込みに多くの時間と高い技術力が必要ですし、革も繊維の整った良質なものを使わねばなりません。さらに、インポートながらヒールカップが小ぶりゆえ、概してかかとが小さい日本人の足にも無理なくフィット。履き口もまた、異例なほど低いため、履き込んで中底が沈んだ際、履き口が当たってくるぶしを傷めるといったトラブルもありません。

 

木型「82」採用の「チェルシー」も人気です

 

以上、木型「202」について検証したわけですが、要は、英国靴らしい品の良さを保ちつつもスマートで、かつ多くの人の足に快適な履き心地をもたらす、まさに名木型であるということなのです。なお、実は「チェルシー」には他の木型が使われたタイプも存在。とりわけ、この木型をベースにしつつ、それをよりナローなシルエットにしたモダンな木型「82」が使われたバージョンは人気が高く、「チェルシー」を買うなら「202」か「82」と大いに悩む靴好きが少なくないと聞いています。

チェルシー横

履き口が低く、ことにアウトサイドは他社製品では見られないほど低い。欧米人に比し、概してくるぶしが低い日本人の足でも履き口の干渉で傷める心配がない。

チェルシー真上、ソール

インサイドストレート&アウトサイドカーブの形状で、親指の付け根から小指に至るラインが極端にスラント。このため、意外にも見た目以上に甲幅があるのだ。
グッドイヤー製法のアウトステッチを隠すヒドゥンチャネル仕立てを採用。ブラックタイプではウエスト部分のみ黒に塗装された半カラスの革底となっている。

 
  • エドワード グリーン/チェルシー LAST202 13万6000円(税別)
  • お問合せ:リデアカンパニー プレスデスク TEL.0120-551-556
  • 文:山田 純貴
 
 

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