BOQ > 連載 > CLOSEUP > > HIRO YANAGIMACHI

HIRO YANAGIMACHI

2013年9月7日
HIRO YANAGIMACHIの靴

セミオーダー導入でヒロ・ヤナギマチの
靴がさらに身近になりました!

近年、個性的なシューズクリエイターが次々と登場している日本の高級靴業界ですが、その先駆けのおひとりが柳町弘之さんです。国立千葉大学大学院出身の工学修士というインテリながら靴の魅力にとりつかれ、渡英してコードウェイナーズ・カレッジ(現ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション)で靴づくりの基礎を学び、主席で卒業。さらにジョン・ロブ・ロンドンなどで経験を積んだ後に帰国し、1999年10月、ワードル フットウェア ギャラリー神宮前本店内にアトリエ「ワークス・オン・ザ・ニー」をオープンしたところ、端正で品格あるデザインと、一切の妥協を許さぬ精緻なつくりが魅力の柳町さんの靴は、すぐさま高い評価を得て多くの靴通らを魅了したのです。2008年には現在地(東京・渋谷区の千駄ケ谷小学校近く)に移転。その工房を「ヒロ・ヤナギマチ ワークショップ」に改称し、現在に至っています。

 

ビスポークから導き出された新木型

 

ところで昨秋、ヒロ・ヤナギマチのオーダーメニューに「パターンオーダー」が加わりました。アッパーはバリエーション豊富な素材&カラーから好みのものが、また、底材は革底のみならずダイナイトなどのゴム底も選択が可能。製法はハンドソーンウェルテッドのほか、ノルウィージャンや九分仕立てなども選べる(ラバーソールは九分仕立てのみ)といったように、パターンオーダーながら選択肢は多彩です。では、木型はというと、ベース木型に肉づけなどの修正を加えずに使用。代りに各木型にEとDの2ウィズを揃え、さらに微調整はオリジナルの専用中敷きを使って行うというユニークなシステムです。ちなみに、これらの木型は長年にわたるビスポークの経験をベースに、修正せずとも、より多くの人の足に合うよう柳町さんが編み出した形状なのだとか。ベース木型に修正が加えられ、デザインのアレンジも可能な「モディファイドオーダー」や、ビスポークスタイルの「フルスクラッチオーダー」に比べると格安(フルハンドソーン製法17万~20万円。九分仕立て14万~17万円)で、このパターンオーダーは、デイリーで気後れせず履ける実用靴として、また、ヒロ・ヤナギマチのエントリーシューズとしてお薦めです。

 

突き詰めてデザインされた妙なる流線美

 

さて、最後に写真のスクエアチップについて少々……。最も注目したいのは、各切り替えが織り成す流線の妙! たとえばサイドを見れば、ヴァンプの幅が狭まるポジションではバルモラル(内羽根)が拡がり、ヴァンプが拡がればバルモラルは狭まるという動的運動が表され、それが実に美しいのです。このように一見オーソドックスでも、検証すれば細部まで破綻のない極めて完成度の高いデザインであるのもヒロ・ヤナギマチの魅力のひとつです。また、このオーダーサンプルではアッパーをなす各パーツがトーン違いになっていて小粋。しかも、それがローコントラストゆえに大変上品な印象であるのが、いかにも“柳町流”です。とはいえセミオーダーを含む各オーダーで素材&カラーの変更は可能ですから、ここはあえて“あなた流”にアレンジを加えてみるというのも楽しいでしょう。

リョウタ ハヤフジ シューメーカーのアウトソール

内羽根とクォーター(甲からヒールカップに至る後革)の切り替えがスワンネックの流線を描き、ヒールリフトの前壁がそれを受け継ぐかのようにスラントに。実に計算され尽くされた完璧デザインだ。

リョウタ ハヤフジ シューメーカーのアウトソール

踵を自然に包み込み、小さく絞り込まれたトップホールで歩行中の足浮きを防ぐ、繊細で変化に富む立体形状は、手間と時間を惜しむことなくハンドラスティングで成型したことのひとつの証左である。

リョウタ ハヤフジ シューメーカーのアウトソール

本底側から見ると、トウが内振りのコンフォート形状であることが理解できる。出し縫いを隠すヒドゥンチャンネルや、土踏まずを包むように支持するベヴェルウエストなどの高級仕立ても美しく見事だ。

 
  • HIRO YANAGIMACHI(ヒロ・ヤナギマチ)
  • L27 5アイレット・オックスフォード・スクエアチップ 18万3750円~(パターンオーダーのフルハンドソーンウェルテッド製法の場合)
  • お問合せ:お問合せ:ヒロ・ヤナギマチ ワークショップ TEL.03-6383-1992
  • 文:山田 純貴 写真:新城 孝
 
 

onlineshop