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YUKI SHIRAHAMA BOTTIER

2013年4月27日

YUKI SHIRAHAMA BOTTIER

フランスの粋と日本の繊細さの美しきランデブー

今回は2010年から福岡市で「YUKI SHIRAHAMA BOTTIER」を主宰する白濵結城さんと、その作品をご紹介します。白濵さんは新進ながら、高い技術力に裏打ちされたフランス仕込みのエレガントな靴を作る実力派として、今、靴好きが最も注目すべきおひとりです。

 

ギルド→スピーゴラ→アルタン

 

1978年、福岡市にて会社員の家庭に生まれた白濵さんは十代の頃からファッションに興味をもち、また職人への憧れもあって、大学卒業後に靴づくりの道に進む決意をしました。

 

2002年、かの山口千尋さんが運営するギルド・ウェルテッド・フットウェア・カレッジ(現サルワカ・フットウェア・カレッジ)に入塾して手縫い靴の基礎を学び、2006年からは、かねてから尊敬の念を抱いていたスピーゴラ(神戸市)の鈴木幸次さんに弟子入り。そこで、常に安定したレベルで高い品質のビスポークを製作するためのノウハウなどを会得しました。

 

さらにアルタン・ボティエの美しいスタイルに魅了され、2009年、パリへ雄飛し、同工房に約1年間勤務。メンズビスポークの製作を担うなか、フレンチスタイルの真髄を自らのものにしたのです。

 

印象はクラシックでも、細部に個性が!

 

写真のサンプルを検証してみましょう。ハンドノルヴェジェーゼもこなす白濵さんですが、このサンプルはドレス仕様のハンドソーンウェルテッド。

 

パターンはフルブローグで、英国トラッドに比べるとトウのパーツが大ぶりゆえ、メダリオンがより強調された印象です。また、優美なラインを描くアデレード形のレースステイには、一般的な5アイレットに比し、よりドレッシーに見える6アイレットがフレアに配されています。

 

捨て寸は控えめに長く、甲のアウトサイドを低くとって内ひねりにしたコンフォタブルな形状。ヒールカップは、くるぶしをしっかりつかむ樽形で、アッパー全体は強いハリがあり、良質な革を使い、長い時間をかけてハンドラスティングされたことがわかります。

 

また、そのフレンチカーフに施された品あるハンドペインティングもまた、白濵さんが十八番にするところ。このあたりにもフランス仕込みがうかがえます。

 

堅牢性を追求したベヴェルドウエスト

 

本底を見れば、レザーソールの底前部に斜め格子の飾りゴテが! 聞けば、これは滑り止めが目的の、フレンチクラシック伝統の意匠とか。とはいえ今日、同国でもほとんど見ることができないのは、あまりに多くの手間と高い技術を要するからで、しかし、白濵さんはあえて、こうした人目に触れぬ部分にもこだわりをもった仕事を施しているのです。

 

また、ウエストまわりはビスポークでは“お約束”のベヴェルドウエストながら、他のブランドよりガッチリした印象。白濵さんによれば、ベヴェルドウエストの場合、履き込むことでこの部分が開いてしまうトラブルもあるため、より強固にすべく、このような仕立てを採用しているとのこと。美しさや履き心地のみではなく、あわせて耐久性を深く追求しているのも、白濵さんの靴の個性といえそうです。

 

細部まで丁寧に作り込まれているのは、日本のビスポークシューズ全般に共通した特徴ですが、白濵さんが作る靴にはさらに徹底された、完全主義的な生真面目さがあります。とはいえ、不思議と堅苦しさがないのは、そこにフランス流の感性が添加されているから。要は、日本とフランスの極北のミクスチャー。こんなビスポーク、ほかにはありません。

 
 

YUKI SHIRAHAMA BOTTIER(ユウキ シラハマ ボティエ)
ファーストオーダー価格29万4000円~(蝶番式樺材製シューキーパー、桐箱など付属)※2回目以降、木型の変更がない場合は27万3000円~。製作期間6カ月以上(仮縫い含む)。

 

※2013年4月27日・28日、大阪・梅田のJR大阪三越伊勢丹(TEL.06-4301-3934)にて受注会を定期的に開催。
また、2013年6月29日・30日には東京・神宮前のランティコ ガルダローバ(TEL.03-5412-1505)で受注会を定期的に開催。

shirahama

見どころ満載の白濵さん作だが、たとえばコバに施されたアウトステッチと目付け。互いのピッチが完全に一致し、全く破綻がない。白濵さんの完全主義的な仕事ぶりが、ここからも理解できる。

 

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斜め格子の飾りゴテは今はフランスでも珍しいフレンチクラシック伝統の意匠。

 
  • お問合せ:ユウキ シラハマ ボティエ TEL.092-791-6832
      • 文:山田 純貴 写真:新城 孝
       
 

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