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エドワード グリーンの「チェルシー」貴方好みはどのラスト?

2019年10月18日

エドワード グリーン チェルシー

エドワード グリーンの「チェルシー」
貴方好みはどのラスト?

英国のドレスシューズを象徴するデザインといえば、キャップトゥオックスフォードが代表格でしょう。ビジネスシーンで礼を失することなく、簡潔な姿は飽きがこず、末長く履き続けることができます。世に数あるキャップトゥの中でも、不朽の名靴として高い人気を誇るのがエドワード グリーンの「チェルシー」です。
 
レースステイ両脇のスワンネックステッチは、紳士靴がブーツしかなかった時代からある英国靴伝統の意匠ですが、この意匠を短靴に初めて採用したのがエドワード グリーンでした。現在では「チェルシー」のアイコン的な意匠になっています。
 
さて、その「チェルシー」にはラスト違いが3種あるのですが、シンプルなデザインゆえにラストの造形が際立ち、それぞれ全く異なる表情をみせています。今回は「チェルシー」に採用されている、この3種のラストを検証してみましょう。
 
 

エドワード グリーン 202

エドワード グリーンを代表する傑作ラスト#202

エドワード グリーン 202-2

伝統的な英国靴に比べ、ややシャープなラウンドトゥの#202は、トゥがインサイドに屈曲した内振りのシルエットであると同時に内ひねりと呼ばれる、人の足形により適った形状で、靴全体の印象はスマートですが、思いのほか甲幅があり、ヒールカップも小ぶりであるため、日本人の足型にも適っています。1990年代半ばに登場したこのラストは、シューデザイナーの故ジョン・フルスティック氏(1983年に経営難のエドワード グリーンを買い取り、それまでの古めかしいデザインを洗練させ、英国最高峰の地位へと導いた立役者)がデザインしたラストで、造形の美しさもさることながら、ずば抜けて優れた履き心地が相まって、史上最も完成されたラストと言われています。
 
 

エドワード グリーン 82

#202の次世代ラストと言われる#82

エドワード グリーン 202-2

2003年に登場した#82は、#202をベースに、それをよりナローなシルエットにしたモダンなデザインです。このラストは当時エドワード グリーンでモデリスト兼ビスポーク責任者を務めていたトニー・ガジアーノ氏(現在はガジアーノ&ガーリング)が手掛けたもの。


 
 

エドワード グリーン 915

#82をベースにしつつより今日的な#915

エドワード グリーン 202-2

2015年に登場した#915は#82をベースにしていますが、さらにシャープでモダンに見えます。これはボールジョイント位置がやや後ろで、トゥにいたるアウトラインが長く直線的であるためです。さらに、サイドウォールはラウンドながら垂直に立ち上がっており、トゥが先端に向けてチゼル気味にやや傾斜している点は#890(2015年に創業125周年記念で登場したチゼルトゥのラスト)のエッセンスが見て取れます。また#915コレクションはグッドイヤーながら、ウエルトのステッチを隠すブラインドウェルト仕様で、木型の美しさをさらに際立たせています。
 
 
いずれのラストも、既製靴ながら内踏まずが大胆に吊り上がっており、これにより、土踏まずのアーチがソフトに支持されます。さらに、履き口もビスポークシューズ並みに低いため、くるぶしに履き口が当たるトラブルもありません。また、ここまで複雑な形状に成型するには、吊り込みに多くの時間と高い技術が必要であり、革も繊維の整った良質なものを使わねばなりません。それらを高い次元で叶えたのが、この「チェルシー」なのです。
 
このように一言で「チェルシー」と言っても、ラストごとに全く違う個性を備えている訳で、大いに悩み抜いて1足に絞る手もありますが、「チェルシー」の複数持ちという選択肢もアリではないでしょうか。

 
  • EDWARD GREEN(エドワード グリーン)
  • チェルシー 各159,000円(税別)
  • お問合せ:エドワード グリーン 銀座店 TEL.03-3573-6055
 
 

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