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吉本 南青山

吉本

洋服メンテナンスの頼みの綱、吉本 南青山

 

せっかくの晴れの場に着て行った大事な服に、食べ物や飲み物のシミを付けてしまい途方にくれてしまったこと、皆さんはありませんか? そんな時、まず思い浮かぶのはクリーニング店に持って行くこと。しかし、そこから戻って来たらシミが落ちていないどころか下手な洗濯とプレスで服の形も崩れてしまい、二度と袖を通せなくなってしまった… こんな悲劇を防いでくれるのが、今回ご紹介する「吉本 南青山」です。
「吉本」は、1936年に京都で創業。呉服のシミ抜きなどの直しでは最後の砦といわれており、「吉本で出来なければあきらめよう」といわれる存在です。今日ではその技術を応用し洋服などの高度な修復も手掛けています。南青山・骨董通り沿いにある支店は2014年11月開店です。

 

言い訳のできない環境で育った高度な技術

 

シミ抜きと言っても、吉本の場合はバックグラウンドが他社とは大きく異なります。和服の絹地は染め上がってから商品となる前に、染料の飛びや地色のムラ、それに色違いなどを修復する最終工程があります。同社はそのスペシャリストとして創業、つまり商品になる前の“新品のメンテナンス”が起源なのです。

 

新品の修復=直した跡が解らない、というシビアな環境、しかも素材の中でもっとも繊細な扱いを求められる絹を多数扱う環境で積み重ねた技術は、気が付けば極めて高度なものに。人間国宝の作製した博物館級の着物が、吉本の指定で直しの依頼が入るケースも多々あるそうで、その評判が洋服やバッグなどの依頼にも繋がった訳です。特にシミ抜きに関しては一般のお客様のみならずクリーニング店からの依頼も多く、正に最後の砦と言った存在です。

 

スペシャリストらしいキメ細やかな対応

 

一般のクリーニング店とは異なる背景を持つ店なので、吉本は依頼時の流れも非常にユニーク。まず、南青山店に限らず、全店舗に厚生労働大臣認定の国家資格「染色補正技能士」が在籍し、実作業を行う彼ら自身が店頭で細かなカウンセリングに応じてくれます。この資格は長年の実務経験と試験での優秀な成績の双方を満たさないと獲得できない難関。その保持者だからこそ「これは直せます」だけでなく、逆に「ここまでしか直せません」も事前にきちんと伝えてくれるのです。

 

もちろん事前のチェック・テストも必ず行います。さらに時間が許すのであれば、実際の作業まで見学ができる点も他店にはない大きな特長でしょう。(染め替えや後述するクリーニングなど大掛かりな修復は京都の本店で行います)これは自らの判断や技術に自信がないと到底不可能なことで、創業時から培った独自の厳しい視点がサービスに生かされている訳です。

 

正確に判断できるから、不要なものは薦めない

 

クリーニングに関しても、吉本のスタンスは他店とは大きく異なります。「必要ならばクリーニングも最善を尽くして行うが、あくまで必要な時だけ」これが基本。例えば襟に付いたシミだけを落としたいのなら、全体のクリーニングは不要と考えます。なお、それが必要と判断した場合は他の服とは混ぜない「一点洗い」となるので、他の服の別な汚れが転移してしまうリスクはありません。

 

また、ホームページ上などに修復に必要な目安となる価格が表示されていないのも、一見不親切に思うかもしれませんが、これは「実際の状況を見てからでないと、価格が正確に見積もれない」という同社の真摯な思いから来るもの。大切な服を修復するのに不要な作業は一切行わない代わりに、逆に絶対必要なものはお客様に納得いただいたうえで作業を進めたい、としたスペシャリストとしての配慮なのです。

 

清潔でフレンドリーな雰囲気!

 

そんな吉本の素晴らしい修復技術は数々の写真をご覧いただくとして、取材に応じていただけたストアマネージャーの木坂さんはとても気さくな方。取材中、難儀そうなシミの案件がたまたま入ったのですが、解り易く丁寧な対応には、良い意味で頑固な職人っぽさを感じません。ところがひとたび作業に立ち向うと、眼と手さばきは真剣そのもの。その対比に真のスペシャリストたるプライドが垣間見えます。

 

清潔感溢れる作業場、そしてそこで蘇って行く様々な服を直に見届けると、誰もが「ここならあの服が復活できるかも?!」と思わずにはいられなくなりますよ! 場所も骨董通りに面した1階ですので、シミ抜き以外にも色褪せの回復やかけはぎ、それにカビの除去やプレスなど、天然繊維や靴以外の革製品の修復が必要になってしまったら、買い物のついでに気軽に訪れてみてください。

吉本

汗の成分の残留で襟が脱色した麻のジャケットの色を回復。天然繊維であれば修復が可能だ。

 

吉本

胸元にワインが掛かってしまいシミとなったウールのジャケット。この種のシミの除去は早めの持参が肝心とのこと。

 

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このようなバッグの類のシミ抜きも可能だ。ただし化学繊維の布地は修復できないものも中にはあるので、まずはご相談していただきたいとのこと。

 

吉本

保管場所の環境が影響し色やけを起こしてしまった布製のポーチ。これも独自の色付けノウハウで、補修したこと自体がほぼ解らなくなっている。

 

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転倒で穴が開いてしまったジャケットの補修は、余りの共布が有れば「かけはぎ」で行える。ただしこの作業は生地の向き・不向きがあるので事前にご相談を。

 

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両肩から袖にかけて色ヤケを起こしてしまった革製のブルゾン。染料仕上げのものだったので色かけをして修復した。ただし元々の色から違う色への染め変えは不可能。

 

吉本

吉本 南青山のストアマネージャーである木坂さんと西尾さん。お二方とも非常にフレンドリー。しかし修復作業に取り掛かると、眼差しは真剣そのものです!

 

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2015.11.26 UPDATE

 
  • 株式会社 吉本 南青山
  • 〒107-0062 東京都港区南青山6-2-2
  • TEL.03-6427-2105 FAX.03-6427-2106
  • HP.www.kimono-yoshimoto.co.jp
  • 営業時間:10:00~19:00 日曜・祝日定休
  • 文:飯野 高広
 

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