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OLD HAT

2015年10月3日
オールドハット

原宿のOLD HAT、開店15周年記念「靴博」開催!

 

ロンドンのヴィンテージクロージングショップを起源に持つ、原宿の「OLD HAT(オールド ハット)」。2000年の開店以来、ツイードジャケットやトレンチコートなど良質な英国古着の販売のみならず、近年ではその美意識や製造ノウハウを継承したスーツのオーダーでも高い評価を得ています。その誕生15周年を記念したイベント「靴博」が、シルバーウィークの前半・9月19日(土)・20日(日)に電車で一駅先の代々木にあるイベントスペースで開催されました。

 

百年以上前の靴も手に取って見れる!

 

この靴博、OLD HATの代表・石田真一氏が開店以来地道に蒐集し続けて来た過去の名靴を一斉に展示するだけでなく、その一足一足を実際に手に取って見てもらうのを通じ、今後の装いやモノづくりの参考になればとの思いで開かれたもの。展示されたのは19世紀終盤から現在に至るまで、英国製の紳士靴を中心に100足以上。中にはこれまで門外不出だった歴史的に貴重な作品も含まれ、20世紀の革靴の進化や変化を俯瞰できる絶好のイベントとなりました。

 

シルバーウィーク最初の2日間のみ、しかも開場は昼から夕方までと短い期間であったにもかかわらず、入場者数は合計約200名と予想を大幅に上回る入場者を記録したこの靴博。参加したのは靴・服飾業界の関係者のみならず、その分野に就職を希望する専門学校の学生やジャーナリスト、そして紳士靴好きの一般の方など極めて多岐に渡ったようです。底付け、デザイン、革質、アッパーの縫製… 同じ靴であっても興味を抱く分野は様々ながら、一足一足に熱心に目を凝らす来場者ばかりだったのが印象的でした。

 

ビスポークシューズは系列ごとに展示

 

特に来場者の関心を集めていたのが、イギリスのビスポークシューズ(注文靴)ばかりを系列別に集めた展示エリアです。現存する靴店の作品と共に、その靴店が合併・吸収した今は無き幻の名店の靴も周囲に展示されるなど、さながら英国のビスポーク靴店の樹系図を一望できるレイアウトになっており、ディテールの相違点をああでもないこうでもないと確認し合う光景がいたるところで見られました。「このような比較が、実際に手に取ってできる機会なんて、日本はもとより英国本国でも滅多にないのでは?」そんな声も聞かれ、関心の高い方にとっては充実した空間になっていたようです。

 

会場内では靴磨きのイメージを大きく変えたブリフトアッシュの代表・長谷川裕也氏やスタッフを招いての靴磨きイベントも同時開催。彼らの華麗な腕さばきもさることながら、シューシャインの前後で靴の表情が大きく変わるのに驚いたり、彼らのノウハウを少しでも学び取ろうとひたすらメモを取り続けたりと、こちらはこちらで大きな盛り上がりを見せました。当日、自分が履いていた靴が一気に綺麗になるのを通じ、展示されている靴が決して過去のものではなく、今にそして未来にも繋がっていることに多くの来場者が気付けたこと確実です。

 

品質・美意識双方の向上のきっかけに!

 

「開店からの15年を思い出すと共に、英国の紳士靴の奥深さに改めて気付かされました。国別とか性別とか世代別とかの垣根を取っ払った上で、靴や服飾品の品質や美しさを、流行に惑わされることなく本質的な意味で維持・向上させていくためのきっかけにこれがなってくれたら…」OLD HATの代表・石田真一氏のそんな思いが来場者、特に若い世代に展示品を通じて十二分に伝わったイベントだったと思います。緻密さや正確さでは欧米より日本の職人の方が遥かに優れていることは、もはや常識。その技術力をどう作品に、しかも「普段使い」に結び付けるか? 今回の靴博は作る側も身に付ける側も、それを考えされる大きな刺激となったのは間違いない筈です。

オールドハット

ジョージ・クレバリーが独立前に勤めていたトゥーシェック(タックゼック)製のサイドエラスティックシューズ。ただし内くるぶし側にしかエラスティックは付かない。ビスポークだから可能な、超絶な設計。

 

オールドハット

往時はジョン・ロブの有力なライバルだったビスポーク靴店・トーマスのロングブーツ。店舗のみならず革質の良さとモカシン縫いの丁寧さも、今日では既に失われてしまっているのかもしれない。

 

オールドハット

19世紀末~20世紀初頭のアンクル丈のバルモラルブーツ。黒の部分のアッパーはコードヴァン。紳士靴のデザインが今日のモノとあまり変化していないのは、この当時のパターン設計が既に完璧であったからだろう。

 

オールドハット

第二次大戦中の子供靴。底面の鋲打ち、アッパーの素材、戦場での修理を想定した木釘を用いた底付など、全て当時の大人の軍靴のまま! 戦時中であるにも関わらずこれだけの品質が維持できていたのが驚きだ。

 

オールドハット

今ではフォスター&サンに吸収されてしまった名門・マックスウェル製の拍車。実はマックスウェルは馬の拍車の製造からスタートしたメゾン。ジョージ4世向けの拍車作りを任された1820年代中盤から乗馬ブーツの製作にも取り組むようになった。

 

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オールドハット

 

オールドハット
 
  • OLD HAT(オールド ハット)
  • 東京都渋谷区神宮前6-28-5 宮崎ビル306
  • TEL.03-3498-2956
  • 文:飯野 高広
 
 

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