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KENT SHOP AOYAMA

2015年4月7日
ケントショップ青山

来年50周年を迎える“青山の街を創ったブランドVAN”の直系

 

今や世界有数のファッションエリアになった青山・表参道界隈。この一帯に最初に目を付けた先駆けである故石津 謙介氏が率いたブランド『VAN』の直系中の直系、KENT SHOP AOYAMAを訪れました。

 

VANと言えば1960年代前半、若者の間で熱狂的に支持されたアイビールックの中心的存在として、日本のメンズファッション史を語るうえで、必ず触れなくてはいけない存在です。大阪発祥のVANが拠点を東京に移した際、本社を構えたのが当時は都心でものんびりした雰囲気が多分に残っていた青山であり、ファッションエリアとして発展したのはそれ以降になります。今回ご紹介するKENT SHOP AOYAMAは、そんなVANに慣れ親しんだ層向けに企画された上級ブランド『KENT』の旗艦店として1966年、当時のVANの本社ビル1階にオープン。2000年に現在の場所に移転し、来年で開店50周年を迎えます。

 

若い頃と同じ感覚で自然に服を選べる!

 

同店の顔である梅田文康店長によると、現在の顧客の中心は’60年代にIVYブームの洗礼を受けた方よりも、’80年代初期のプレッピーブームの中で初めてVANやKENTを知った50代の方なのだとか。梅田店長曰く「子育てを無事に終え、自分自身の為にお金が使えるようになった方が、若い頃を思い出して再び訪れてくれているみたいです。インポートブランドに比べれば、品質が堅実な割に価格帯もお手頃ですし…。」実際、取材中にも東京出張を機にVANのブレザーのパターンオーダーをしに来た方や、電話でKENTのネクタイを数本注文されるお客様など、店内は平日の昼間とは思えない忙しさでした。

 

また、「トラッドって、一旦基本をしっかり覚えてしまうと絶対に忘れませんから、多少のブランクがあっても自然と着こなせてしまうのです。」確かにVANであれKENTであれ、着丈や肩幅など細かな数値は、時代と共に変化しているものの、服の基本的なディテールは半世紀たっても全く変化がありません。だから、安心して帰って来られる服なのです。「まあ、馴染みの床屋とか蕎麦屋とかに行くのと似た感覚で訪れて下さっているのでしょうね。『若い頃と体型が変わってしまったので、これと同じようなものを今の体に合わせて!』と頼まれる方も多いですよ。」

 

スーツ・ジャケットはパターンメイド主体

 

“元気溌剌のVAN”、“落ち着いた印象のKENT”両ブランドの立ち位置は、昔も今も変わりません。その一方で時代を経て大きく変化したのは、この店にあるスーツやジャケットがパターンメイド中心の構成になっていること。基本サイズから調整できるのは袖丈や股下などに限られるものの、両ブランド伝統は維持しつつ、生地やボタンなどで“自分なりの楽しみ”を叶えられる作品が、注文から僅か2週間程で完成します。ジャケットでは、伝統的なものから現代的に微修正を加えたものまでVANでは24スタイル、KENTでは12スタイルの中から選択できます。オーダー未経験者であっても、素材と構造との相性を踏まえ、経験豊かな梅田店長が適切にアドバイスしてくれるのは有り難い限りです。例えばこれからの時季に重宝する麻や綿のような張りのある素材では、芯地のほとんど入らないVANのアンコンモデルがおすすめとのことです。

 

ここ数年クールビズが定着したからか、春先はウールよりコットンスーツのオーダーが多くなりました。ネクタイなしでも、あまり違和感がないからかもしれません。また、パンツも従来よりスリムで60年代のシルエットに近いVANの『レジェンドモデル』が、世代を超えて好評なのだとか。暑苦しくなく少しでもスッキリと見せたい、ということなのでしょうね。このパンツはジャケット無しでも映えますから。あと、ちょっとお腹が大きくなってしまった方でもカッコ良く見えるよう、パターンに工夫をしていますのでご安心ください!

 

ファッション以上にライフスタイルとしての服が揃う店!

 

「VAN、KENT両ブランドは、IVY、トラッドというファッションスタイルだけで捉えられがちですが、それ以上に『ライフスタイルを提案する、真の大人が身に付けるブランド』として、インポートブランドが日本に普及するより前に確立したことに、大きな意義があると思うのです。ルーツはアメリカの東海岸ですが、それを日本で昇華させ『ジャパニーズトラッド』を創造した存在なのだと思います。」こう穏やかに語ってくれる梅田店長には、半世紀以上を生き抜き、今や世代を越えて着れる・着こなせる服となったVANやKENTの服に対する深い愛情を感じずにはいられません。

 

KENT SHOP AOYAMAは、こんな流動的な時代だからこそ絶対に大切にしたい「いつでも帰って来れる懐の深い母港」。IVYやトラッドを経験した方もそうでない方も、「お洒落の原点」とは何なのかを思い出させてくれる、今や貴重な空間です!

ケントショップ青山

ポリエステル製パッカブルレインコート(VAN)。カジュアル・ビジネス双方に使える紺系のダークマドラスチェックの薄手のコート。袖付けは今時珍しいスプリットラグラン仕様。同素材のレインハットと収納袋が付く。2万3000円(税抜)。

 

ケントショップ青山

このブランドによる命名が和製英語として広く伝わった真っ赤なスイングトップ(VAN)。背面のロゴが昨冬プリントから刺繍にバージョンアップされている。紺やベージュもあるが、大人だからこそこの真っ赤にチャレンジしたい。2万2000円(税抜)。

 

ケントショップ青山

スクールジャケット調のサックジャケット(VAN)。素材は実は伸縮性に富むニットで、モダンなアプローチも怠っていない。スタイルはこのブランド伝統の3ボタン2つ掛け。胸ポケットに付く“V”の字のワッペンも誇らしげだ。3万2000円(税抜)。

 

ケントショップ青山

忘れてはいけないボタンダウンシャツ(VAN)。流行に媚びていない襟幅に清々しさを覚える。巷ではなかなか見なくなった「季節」を意識した色柄が、ここではまだ揃う。左:ブロードのボールドストライプ 8800円。右:ピンオックスのタッターソール 9200円(すべて税抜)。

 

ケントショップ青山

ブラックウォッチタータンのウールパンツ(VAN)。従来のものより若干スリムにした「レジェンドモデル」は、ジャケットを身に着けなくなりがちなこれからの時季に最適。背面の尾錠や脇部のタテポケットなど、お約束はきちんと踏まえている。1万9000円(税抜)。

 

ケントショップ青山

こちらもレジェンドモデルのコットンオックスフォードパンツ(VAN)。80年代のプレッピーブームの頃人気のあったものを再現した涼しげな一品。プルオーバーのボタンダウンシャツとの相性抜群! 1万2000円(税抜)。

 

ケントショップ青山

こちらはKENTブランドのパターンメイドの一例。ダークマドラス地のウールジャケットは、チノーズにもチャコールグレイのウールパンツにも合わせられる重宝な一着だ。ジャケット5万4000円、パンツ(KENT。こちらは既製)税込1万1000円(すべて税抜)。

 

ケントショップ青山

長年の経験と丁寧な接客で顧客から絶大な支持を集める梅田文康店長。時代の気分も考えつつ、「いつまでも飽きない着こなし」を的確にアドバイスしてくれます!

 
  • KENT SHOP AOYAMA
  • 〒107-0062 東京都港区南青山3-8-39 西野ビル3F
  • TEL.03-3403-6962
  • kent-aoyama.o.oo7.jp
  • 営業時間:平日11時~20時、土・祝日11時~19時半
  • 定休日:年中無休(年末・年始及び夏季休暇あり)
  • 文:飯野 高広
 
 

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