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LID TAILOR

リッドテーラー

スーツ以上にその人そのものを創り上げてくれるテーラー

 

中央線で西へ進むと、個人商店が賑わう駅周辺を抜けて、落ち着いた住宅街にガラッと変貌する23区の最西端が西荻窪。ヴィンテージ家具や古書の店が集まるエリアです。今回訪れたLID TAILOR(リッドテーラー)は、そんな西荻窪の駅南口から5分ほど真っ直ぐ歩いた場所にあります。

 

駅からのんびり歩いていると突如姿を現す白いドアと内装は、まるでイギリスの古いテーラーを訪れてしまったかのようですが、周辺の町並みと不思議と調和しています。ここの代表である根本 修氏は1972年の生まれで、テーラーとしてはいよいよ脂の乗り出す世代。20歳でこの世界に入り、独立し現在地より少し南寄りにリッドテーラーを開業したのが2006年のこと。そして2010年に今の場所に移転して来ました。

 

入門編・最高峰共に満足度の高い仕立て

 

現在リッドテーラーのオーダーグレードは大きく分けて3つあります。まずは「Made to Measure」。予め用意された型紙とデザインとを色々組み合わせ、小規模な縫製工場で縫い上げる、仮縫い無しのイージーオーダーです。これは更に、モッズテイストを高次元に洗練させた”Corks”レーベルと通常のものとの2ラインに分かれ、ともに納期は約1か月です。

 

次にこの冬から始まった「Custom Order」。基本の型紙こそマスターを修正して用いますが、仕様はかなりの部分でアレンジでき、後述する「Bespoke」と同様に、職人による一点縫いとなります。仮縫いをオプションで付けることも可能で、納期は約1.5か月です。そして型紙をゼロから起こす「Bespoke」は、縫いも手縫いでもちろん仮縫い付きとなり、納期は約3か月掛ります。

 

「進化を恐れない」伸びやかな作風

 

どのグレードであれ根本氏の手掛ける作品には、他のテーラーのものではなかなかお目に掛れない伸びやかで若々しくも優しい線、自然な線が出るのが大きな特長でしょう。それは根本氏がスーツ好きになる原点が、いわゆるモッズムーブメントに共感したことと深い関わりがあるのは間違いありません。

 

「モッズって単なるファッションとして捉えられがちですが、あれってむしろ『過去を踏まえつつも進化を恐れない』精神と言うか、生き方そのものじゃないですか! 一つの所に閉じこもらずに常に前を向く姿勢に、今でも惹かれるんです」。そうにこやかに(この屈託のない笑顔にファンが多い!)熱く語る根本氏だからでしょうか、オーダーの際にはハウススタイルは、敢えて強調しないようにしているのも他店との違いでしょう。

 

顧客に鍛えられた感性を、
なにげなく溶け込ませる

 

「ハウススタイルと言うよりも、着る人の体格やキャラクターに沿うようにスーツを仕立てるのをモットーにしています。『ウチらしさ』は縫い方やカッティングそのもので、十分出せますから……」。実際に顧客の中には、例えば「夏物はアメリカントラッドだけど冬物は絶対ブリティッシュ!」など、自分の嗜好を知った上で季節や場面ごとに服のグレードやテイストを変化させる方も多いのだとか。

 

既に他の著名な店でオーダーを経験された方の来店の割合も高いそうです。「海外の有名な複数のテーラーさんで仕立てた作品を持参して、『これらをどう、私と根本さんのスーツにする?』的にオーダーされる方も、中にはいらっしゃいます。確かに難題ですが、だからこそやり甲斐もあります」

 

出しゃばることなく自然に寄り添うスーツ!

 

もちろんそういう積み重ねが、グレードがどうであれオーダーを初めて経験なされる方に活かされない訳がありません。「お客様の嗜好が多少変わることもあるかもしれませんが、それを前向きに捉え、はじめは細くて短い木の幹が、枝分かれしつつも太く大きく上に伸び年輪を刻んで行くように、スーツと一緒に歳を重ねられるお手伝いができたらと常に思っています」。

 

そう、リッドテーラーの作品は、根本氏の感性やテクニックばかりが出しゃばるものでは断じてありません。作り手と着る人そして服そのものの3者が自然と寄り添いあう、真の意味でのユーモアを感じさせるスーツです。ズバリ若い世代やオーダー未経験の方こそ、まずは門を叩いてみる価値が大いにあります。「自分は正統派ではないかも?」と謙遜される根本氏ですが、いえいえ、今日の多くのテーラーが忘れてしまった原点、すなわち人と服とが一体化し「その人」を創り上げる精神をしっかり残している、絶対に貴重な存在です!

リッドテーラー

今や貴重なヴィンテージのEdwin Woodhouseの生地は根本氏のBespokeでのイチオシ。Summer ComfortはBespokeでシングル2ピース34万円(税抜)~、冬向けの最強生地・濃紺の6Plyウールは同36万円(税抜)~。

 

リッドテーラー

こちらもヴィンテージのEdwin Woodhouseのジャケット地であるメッシュ3Plyウール。ソフトながら張りのある独特な質感が魅力。Bespokeでジャケット26万円(税抜)~。

 

リッドテーラー

もちろん現行の生地も正統派のみならずトレンドを意識したものも豊富に揃う。こちらは夏のジャケットに最適なETHOMASのウール・シルク・リネン混。Made to Measureで7万8000円(税抜)~。

 

リッドテーラー

Bespokeグレードのジャケットの作品例。決して硬直的ではなく、優しく伸びやかな面構成は、他のテーラーでは味わえない雰囲気。着心地も当然自然!

 

リッドテーラー

笑顔が似合う代表の根本氏。知識や技術もさることながら、どんな作品を創り上げるか顧客と一緒に考え抜いてくれる真摯な姿勢にファン多数。話し出すと止まりません!

 

リッドテーラー

 

リッドテーラー

2015.03.07 UPDATE

 
  • LID TAILOR(リッドテーラー)
  • 〒167-0054 東京都杉並区松庵3-31-16 #103
  • TEL&FAX.03-3334-5551
  • lidtailor.com
  • corks.jp
  • E-mail:info@lidtailor.com
  • 営業時間:11時~20時
  • 定休日:年末年始を除き無休(不定休あり)
  • 価格:いずれもシングル2ピース。生地や仕様により変動します。
  • ・Bespoke:\330,000 +税~
  • ・Custom Order:\180,000+税~
  • ・Made to Measure:\120,000+税~
  • 文:飯野 高広
 

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