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T.MBH

2015年1月31日
T.MBH

革小物の奥深さを実感できる、完全予約制のショールーム!

 

ほんの少し前まで「下町の問屋さんの街」というイメージしかなかった浅草橋から蔵前の辺りに、冴えた感覚のショップや飲食店がここ数年で増え始めています。その守り神たる鳥越神社の近くにあるのが、今回訪問したT・MBHのショールームです。
T・MBHはTAKUYA MADE BY HANDを略した革小物司・岡本拓也氏のブランドです。各製品はショールームの近くにあるアトリエで、その名の通りすべて手作業で丁寧に作られます。2006年にブランドを立ち上げた最初の製品がペンケースであり、現在でも著名な高級筆記具店との取引が多いので、革製品好きでことさら筆記具にも関心の高い人に絶大な支持を集めています。

 

革の特性を活かし、
実用性を熟慮したシンプルなデザイン!

 

もちろん牛革の製品も多数ありますが、T・MBHの革小物でまず思い浮かべるのは、クロコダイルやリザード、それにガルーシャのようなエキゾチックレザーを用いたものかもしれません。ただし、他のブランドのものとは印象が大きく異なり、それらにありがちな“ギラツキ”がありません。例えばクロコダイルは最高級のポロサス・クロコダイルを主張し過ぎないアースカラー系に別注で染めてもらっているなど、革に対する徹底したこだわりを感じます。しかしその最大の秘密は、どうやらデザインにあるようです。

 

T・MBHの商品は、どれも見た目が極めてシンプル。余計な装飾が全く無いのが特長! その理由を岡本氏に伺ってみると、「私は“実用できる製品とは?”をまず考え抜いてから、製品の構想を練り始めます。そしてそれに最適な技法をあれこれ考え、試行錯誤を繰り返したうえで商品化して行きます。シンプルなデザインはその過程の中で、あくまで自然に形成されて来るからでしょう。そう、自然にです」

 

岡本氏はさらにこう続けます。「実は“余計なものを削り抜くデザイン”こそ、今日最も一番難しい創造ではないかな? と痛感しています。特に革小物の分野では、他のブランドのものと必然的に形状やディテールが被ってしまうからです。多くのブランドは『他とどう差別化を図るか』的な観点で、凝ったデザインにしたり革に加工したりして見た目の差別化を図ろうとしがちなので、“狙っている感”が知らぬ間に露出してしまうのではないでしょうか」

 

技法にすべてを託すが故の、澄み切った質感

 

「私は逆に一見視野に入らない箇所に新しい『技法』を考案し、採り入れ続けることこそが真の差別化であり、また職人としての根幹は、顧客の方々が製品を長く愛用していただけるために全力を傾けるべきだと思っています。だから表層的なものを無闇にいじる必要に迫られていないのです」ゆっくりと信念を持って語る岡本氏には、そう言えるだけの背景があります。実は岡本氏は、革を縫う技術もデザインもすべて独学で学ばれています。この分野で「師匠」と呼べる人を持たない、とても稀な存在なのです。だからこそ、これまでの常識・因習に囚われることなく新たな技法を色々と創造できたのでしょう。

 

「何処かで修業を積んだ訳ではなく、私は35歳で生業とした訳ですが、その前、つまり趣味で革小物を作っていた頃から、もう思い付いては試作し失敗の連続でした。でもその経験が今に確実に活きています」確かにT・MBHの製品は何気なくも、アッと驚くような技法のオンパレード!どれも量産品では絶対に真似出来ないものばかりです。

 

「視野の広さ」が使い心地の良さに繋がる!

 

「完全な手造り」ではあるけれど、必ずしも「縫い」には固執し過ぎていないのがT・MBHの製品のもう一つの魅力です。「縫い」が耐久性を損ねてしまう場合には、それ以外の方法も考案し活用する。そんな 師匠を持たない岡本氏ならではの「視野の広さ」が、結果的に各製品に無理や無駄のない、どこか澄み切った印象を与えている理由かもしれません。その技術を駆使するアトリエは現在10人体制ですが、各所からの依頼が殺到し、多くの製品で現在受け渡しは約半年先とのこと。既製品・セミオーダー、そしてこのショールームでのみ受け付けるビスポーク、いずれも用いる技法=工夫を重ねた手造りであることには全く差は有りません。

 

「主客転倒にならないよう使い手と作品とのバランスを常に考え、安心して手に取ってもらえるモノ作りを心掛けています。作り手は商品の構造や仕上がりの良し悪しを一瞬で見抜く能力はありますが、一つの製品を使い続けた上でその良し悪しを見抜く目は、個々のユーザーにはかないませんし、その厳しい目は誤魔化せませんから」

 

作り手・顧客双方の顔が見える体制で、文字通り「本物」を作り続ける岡本氏の言葉には、毎日使い続けることになる革小物への情熱が満ち溢れています。今や各所でのイベントに引っ張りだこの彼ですが、それをより直に感じ取りたい方、予約を入れて訪れるだけの価値は十分にあるショールームですよ!

T.MBH

今やT・MBHで最も人気の高いiPhone6装着リアバンパー。これのみ納期が約2週間で既製品も一部用意。革の性質上曲面や折り目にバリの出易いガルーシャだが、商品完成後に再度全面研磨することで滑らかに仕上げ、この革に出がちな「威張り感」までも抑えるのに成功している。両脇のiPhone6用は価格4万円。中央のiPhone6Plus用は価格5万3500円(すべて税抜)

 

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表面に最高級のポロサス・クロコダイルを用いた上にライニングをペッカリーとした贅沢な作りの呼薫(コクーン)シリーズ。柔らかいのにとにかく頑丈!キーケースと2つ折り財布のクロコダイルは新作のグレー色。時計周りに写真向かって右:キーケース価格10万6000円。写真下:2つ折り財布価格15万円。写真向かって左:コイン+カードケース価格9万8000円(すべて税抜)

 

T.MBH

「薄いけれど丈夫」がモットーの葉合せシリーズの最新作であるコインケース。ライニングのみで一度組み立てた後に、外側の革を包み上げる手仕事の技は、クールな外観からは全く想像できない! 形状がボコボコになり難く、容量もたっぷり。しかもマグネット留めの効果でコインがしっかり固定できるためジャラジャラ音がし難いのも魅力だ。牛革(ノブレッサカーフ)価格1万7000円。クロコダイル5万3000円(すべて税抜)

 

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ビスポーク品の一例であるペンケース。ポンチを通す溝が内部で何段階にも角度を変えているので、開けたくてもなかなか開けられないユーモアある一品。海外で人気の高い大きな万年筆も余裕で入れられる。参考商品。

 

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T・MBHを運営するのみならず、「革小物司」として全ての製品作りに直接携わる岡本拓也氏。優しいながら説得力のある口調にどんどん引き込まれてしまいます。技法の話になったらもう止まらない止まらない…… 是非とも直接お目に掛かってオーダーを入れて下さい!

 

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  • T・MBHショールーム(完全予約制)
  • 〒111-0051 東京都台東区蔵前4-26-6
  • FAX.03-6410-7578
  • takuya-mbh.jp
  • 文:飯野 高広
 
 

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