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“DO IT YOURSELF” 第5回 美しいコバはワンランク上の風格

2018年5月22日

DO IT YOURSELF

 
FUN TO CARE SPECIAL 靴の楽しみ方最前線 “DO IT YOURSELF”

第5回 美しいコバはワンランク上の風格

DO IT YOURSELF

「お洒落は足元から」とはよく耳にするフレーズですね。昨今の靴磨きブームによってインスタ上では紳士靴ユーザーの方々の情熱により美しい鏡面仕上げの写真を見る事が出来る様になりました。皆さん本当にお上手です。中にはプロ顔負けのテクニックをお持ちの方もいらっしゃるので、日本における「シューケア」というカルチャーがひとつの円熟期を迎えたのではないかと考えております。
今回はそんな円熟したユーザーの方にもご興味を持って頂けたらと、コバ仕上げに特化した内容で書いてみました。どちらも黒や焦茶のレザーソールの靴に適したやり方なので、ドレッシーな革底の靴でトライしてみて下さい。

 

市販のアイテムに一手間を足す

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それではご自宅でも可能な具体的なケア方法をふた通りほどご紹介させていただきます。
まずは市販のコバ仕上げ剤を用いるやり方です。ダメージのあるコバ面にいきなり仕上げ剤を塗ってもやり方として間違いではありませんが、それではワンランク上の仕上げにはなりません。紳士靴のコバは一般的にベンズと呼ばれる硬質な革ですから、ヤスリをかける事で美しい面を得られます。丸コバや上下にツメのある仕上げであればペーパーからスタートしても良いのですが、画像の様なツメの無い平コバであれば金ヤスリからスタートした方がキリッとした断面になります。金ヤスリも荒いものから高番手の細かいモノまで様々ですが、高番手のものがオススメです。しっかり削るときは前後に力強く、仕上げに近づいてきたら優しく撫でる様にして一方方向にあてる等、使い方に工夫をしてみて下さい。くれぐれも力み過ぎてアッパーにキズをつけない様ご注意を。

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金すりでしっかりと断面を作ってから200〜300番程度のペーパーで仕上げをし、ここで漸く市販のコバ仕上げ剤を塗っていきます。今回はタラゴのコバ仕上げ剤を使いました。インクとロウ分がバランス良く配合されていて使い勝手も十分です。指で表面に触れてもベトつかない、乾きの状態のときにブラシを高速にかけると一気に美しいコバ面が完成します。私の場合は時短の意味でエアホットガンで半乾きの状態を意図的に作ります。コバが整うと新品の様な存在感を放ってくれますね。
 

艶度が高まるビスポーク風仕上げ

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これは非常にマニアックで手間のかかるやり方なので時間のあるときにトライしてみて下さい。ペーパーをあてて素地をしっかりと整えるまでは同じプロセスですが、ビスポーク風仕上げでは次に染料でコバに色を入れます。しっかりとベンズの断面に色を入れる必要があるので「早染めインキ」かサフィールの「フレンチダイナー」が適しています。ここでは「フレンチダイナー」を使用しました。
コバの着色が出来たらエアホットガンでアイン蝋(靴道具屋さんで購入出来ます)の先端を温めます。アイン蝋はすぐに溶けるので溶けた蝋を手際よくコバ面にまんべんなく強めに擦りつけていきます。全体的に塗れたら今度はホットガンでヒールやコバ面を熱して断面に蝋を溶かし込んでいきます。ベンズの断面は蝋をよく吸います。これを三回くらいやってから高速でブラッシングをしてみて下さい。どうでしょう、ビスポーク靴の様なしっとりした艶になっていませんか?
艶が弱く感じる場合は市販のワックスやミラーグロス等を用いて鏡面磨きをし、艶を足していきます。ビスポーク靴のコバ仕上げ法をアレンジしたこのやり方で仕上げると、ヒールやコバにも顔が映ります。時間のある方でインスタ映えを意識なさるのなら、非常にオススメなやり方です。

 

手持ちの靴の艶度に合わせて

第五回目はコバに重点をおいてみましたが如何でしたでしょうか?最近ではビジネスにスニーカーを取り入れる気運も高まり、レザーソールのエレガントな靴を履く機会が減ってきている印象があります。クラシックなドレスシューズは本領発揮の意味でもフォーマルな場にこそ相応しいというもの。晴れの日に備える意味では手塩にかけてグッドコンディションを保っておきたいですね。シャツもスーツも高番手で艶度の高いものを着るときは手入れの行き届いた靴の方がやはりしっくりきます。「お洒落は足元から」の極意は靴の微細なコンディションに合わせてコーディネートをするという事でもあるのだと思います。
「Do it yourself」の次回連載は少し時間を置いた後、革靴をカスタムする為の技法に特化した内容で再開する予定です。お楽しみに。
ブラスクハウス主宰 佐藤 哲也(サトウ テツヤ)
大学ではプロダクトデザインを専攻し、その後は仏靴メゾン2社でカラーリストとして腕を磨く。靴に限らずさまざまな領域のカラーリングを手掛けている。伝統的な業界の手法とは異なるアプローチを志向し、顧客参加型のビジネスを立ち上げるべく新しいアトリエの引越し先を物色中。

 

文:佐藤 哲也 写真:桑田 望美


 

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