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Shop Around DIETRO LE QUINTE(ディエトロ レ クインテ)

2017年10月26日
DIETRO LE QUINTE(ディエトロ レ クインテ)

 

骨董通り裏手の一角に
シックなたたずまいを見せるディエトロ レ クインテ

DIETRO LE QUINTE(ディエトロ レ クインテ)

今年9月1日にオープンしたばかりのDIETRO LE QUINTE(ディエトロ レ クインテ)に行ってきました。イタリア語で“舞台裏”という意味のお店だ。このお店で取り扱っているブランドはナポリの「チェザレ・アットリーニ」。アイテムはスーツとジャケット、パンツを中心にコート、ネクタイなど。もはやアットリーニの専門店と言ってもいい。
 
店舗に入ると中央部分にスーツやジャケットの重衣料が吊るされていて、この棚を中心に左右に分かれ、お客さんが寛げるスペースが広くとられている。壁面にずらりとスーツが吊るされている一般的な店舗に比べて、まるでサロンのような雰囲気なのだ。内装は真っ白な壁にペールカラーの床と棚、イタリアのアンティークの椅子、壁に大きな鏡を設置するなど、お店の内装も明るく、高級感が漂っている。いつも取材で重厚なテーラーに慣れているので、こういう雰囲気の店内は気分が開放的になって楽しい。
 

ナポリ仕立ての最高峰アットリーニの魅力を伝える伝道師

DIETRO LE QUINTE(ディエトロ レ クインテ)

さて、なぜアットリーニばかり揃えているのか気になって聞いてみたところ、スタッフ全員がアットリーニのスーツが大好きというのが一番の理由らしい。世の中にはいろいろな高級既製スーツはあるが、アットリーニを長年にわたって着用されてきた人たちの結論だと思うと、アットリーニって凄いブランドなのだとあらためて思ってしまう。
 
何度かアットリーニの商品は見たことがあったものの、袖を通したことも、購入したこともなかった。もちろん知識としてナポリ仕立ての最高峰のスーツということは知っていたが、双璧ブランドのキートンとの明確な違いもよくわからない。
 
そこで大きな鏡の前でジャケットを試着させてもらうことに・・・。
店員「まずは着用してみてください」
倉野「おーっ、すごく軽いですねー。しかも動きやすい」
店員「みなさんそうおっしゃられます」
倉野「しかもシルエットが美しいですね」

 
ということで、アットリーニを体感させてもらって気分よく取材に突入。
 

DIETRO LE QUINTE(ディエトロ レ クインテ)

ディエトロ レ クインテで取り扱っているアットリーニは日本人向けにモデファイされた別注ものではなく、現地と同じシルエットのものを選んでいる。それはアットリーニらしさ、イタリア物の良さにこだわっているためだ。日本に代理店があるわけではなく、直接ナポリから仕入れているのだが、なかでも作りと素材の良いものを厳選しているとのこと。
 
仕入れる際に特定のお客さんを想定して選ぶこともあるそうだ。つまりお客さんが必要としているアイテムをあらかじめ把握しているのである。それだけお客さんを大切にしているというわけだ。もちろん無理やり購入させることはない(笑)。お客さんのクローゼットを把握しているパーソナルスタイリストのような特徴も備えているお店なのだ。
 
現在、ベーシックなスーツ10型、ジャケット10型があり、ネイビーとグレーの無地、ネイビーとグレーのストライプなど、バランスよくセレクトしている。サイズは1モデルに3サイズ(44、46、48のもの。50、52、54のものなど)揃えている。
 
アットリーニはキートンに比べて少し落ち着いた印象だが、カシミアやシルクがブレンドされるなど、さすがに素材はラグジュアリーだ。取り扱っているアットリーニのスーツは70万円位が中心価格帯。
 

DIETRO LE QUINTE(ディエトロ レ クインテ)

ナポリのファクトリーはキートンに比べて小規模で、少人数体制で縫製を行っている。作りはナポリ仕立てらしく手縫いの箇所が多く、裏地を省略したものなど軽い仕立てが特徴。前肩も気にならない。パンツはヒップポケットが2つ、アウトのツープリーツのベルトレス仕様が基本的なディテールだ。
 
現地ではトレンドを加味したコレクションも展開しているそうだが、このお店ではベーシックなモデルのみを取り扱っている。来店されるお客さんの多くが仕事上あまり目立ちたくない装いを好まれることもあり、控えめながら高級感のあるアットリーニのスーツに魅力を感じているのだろう。年齢は50歳以降の方が多く、50代はビジネスウェアとして、60代以降は食事に出かけるときの装いとして購入されるそうだ。
 
ちなみに現在、アットリーニの店舗はナポリとニューヨークにあり、この冬にはミラノにもできるそうだ。ス・ミズーラの受注会もアメリカをはじめ、ドイツやロシアなど世界中の主要都市で開催するなど、アットリーニの服は世界で認められているのだ。
 

好みとライフスタイルに合わせた1着を仕立てるス・ミズーラも展開

DIETRO LE QUINTE(ディエトロ レ クインテ)

ディエトロ レ クインテのもう一つの魅力はアットリーニのス・ミズーラを展開していることだ。サイズオーダー的なもので、お客さんはサイズの合ったゲージ(サンプルジャケット)を着用して、店員がピンで余分な生地を留めるなど、時間をかけて体型補正していくシステムだ。
 
何センチ「詰める・出す」といった採寸データと、細かな指示をス・ミズーラ専用のオーダーシートに書き込むのだが、採寸箇所がとても多いのに驚いてしまった。袖丈や着丈の長さはもちろんのこと、お腹が出ている、いかり肩、猫背などの体型の癖も補正してくれる。補正すると体に合うというサイズ的な改善だけでなく、体の癖をわかりにくくしてくれるのだ。
 
ス・ミズーラ専用のバンチブック(生地見本)や裏地も用意されていて、好きな生地を選ぶことができる。価格は70万円台~。選ぶ生地によって価格は異なる。採寸したデータと選んだ生地の番号などをナポリのファクトリーに伝えて縫製するシステムだ。
 
ス・ミズーラのオーダーは随時行っていて、ディエトロ レ クインテの経験豊富な店員が採寸し補正してくれる。また現地からスタッフが来日して行う受注会は年に2回開催予定(3月・9月)とのこと。
 

イタリアのシャツファクトリーで作った高品質なオリジナルシャツ

DIETRO LE QUINTE(ディエトロ レ クインテ)

スーツに合わせるシャツはディエトロ レ クインテのオリジナルをイタリアのシャツファクトリーで作らせている。有名ブランドのシャツを手掛けているファクトリーだ。実際にシャツ生地の見本を手で触って、アットリーニにふさわしい生地を厳選している。たとえば240番双糸の高品質なシャツ生地や、カルロリーバやアルモの生地などを使ったシャツも展開している。衿腰は少し高めの4.3センチで、マシンメイドによるステッチも細かく、縫製も丁寧だ。襟はカラーステイを入れないタイプで、首まわりを柔らかく作っているのが印象的だ。
 
オリジナルシャツは6万5000円~。平均価格帯は8万円位。
 

服を買うことだけが目的ではなく人が集まる場所にしたかった…。

DIETRO LE QUINTE(ディエトロ レ クインテ)

店舗を構える際に2つのコンセプトがあった。アットリーニを取り扱う店舗にしたかった理由は前述したが、もうひとつは人が集う空間にしたかったそうだ。
 
フィレンツェに行ったときに、夕方になると現地のおじいさんたちがたくさん集まってきて、ただただお喋りをして帰っていくそうだ。服を買うことが目的ではなく、来店して楽しい時間を過ごすのだ。そんな素敵な光景を目にして、いつか日本でもそんな空間を作りたいと思ったそうだ。
 
そのため寛げるサロン的な要素を積極的に取り入れている。実際に南青山界隈のお客さんが朝の散歩のついでにふらりと立ち寄り談笑して帰っていく。お客さん同士の待ち合わせ場所になっていたり、夕方に立ち寄って、これから食事に行くなど、お客さんが集う空間になっているのだ。
 
主役はあくまでもお客さんであり、ディエトロ レ クインテはコンシェルジュでありパーソナルスタイリストのような存在。イタリア語で“舞台裏”と名付けた真意はそこにある。南青山の骨董通りの奥まったところにある、隠れ家的ないいお店だ。
 

DIETRO LE QUINTE(ディエトロ レ クインテ)
住所:東京都港区南青山6-11-8
TEL:03-6427-9894
営業時間:10:30~19:00
定休日:日曜日

 

文:倉野 路凡


 

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