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靴の楽しみ方最前線 “DO IT YOURSELF”

2017年9月16日

DO IT YOURSELF

FUN TO CARE SPECIAL

靴の楽しみ方最前線 “DO IT YOURSELF”

ここ数年、駅前では必ず靴のリペアショップを目にするようになりました。気に入りの靴をリペアしながら、末長く使うことが当たり前になったことを受けてのことでしょうか。また、シューケアにも感心が注がれ、これまでのシューケアから一歩進んだ『新しい楽しみ方』も始まっています。それは『靴版DIY』とでもいうべきもので、我々が普段おこなっているシューケアとは一線を画すものです。今回からスタートするBOQの連載では、ハンドペインティングのワークショップを開催するブラスクハウス主宰の佐藤哲也さんにお話しをうかがいながら、靴好きがハマる、その魅力に迫っていきます。
 

第1回
自分の靴を手仕事で生かす、
カラーリングの魅力

フランスの某高級シューズメゾン2社でカラーリストとして腕を磨いた佐藤さんは、その技術を活かした多彩な活動をおこなっています。「私のカラーリストとしての仕事は、靴と持つ人との付き合いをより強固につなぐ仲人のようなものでありたいと思っています。シューズクローゼットの中には自分でメンテナンスできないとあきらめて履く機会が失われた靴がたくさん眠っていると思います。それらの靴は革のコンディションに問題がなければ、誰でも簡単に自分の靴を再生したりアレンジしたりすることはできるのです。」と、話してくれた佐藤さん。現在は『新しい靴の文化を育てたい』という以前からの想いを具現化するため、新しいアトリエのオープンを準備しているそうです。

佐藤哲也

 

カラーリングのプロが技術を伝えたいと思ったわけ

DO IT YOURSELF

そんな佐藤さんが『自身で靴をリファインする楽しさを伝えたい』と思い描くきっかけとなったカラーリスト時代の忘れられないエピソードを話してくれました。
「ある雨の日のことです。医師のお客様が仕事中、お気に入りの靴に誤ってアルコールをこぼしてしまい、今は雨靴としてしか履かないのだと、その日に履いていたライトブラウンのローファーの話をしてくれました。」きれいな靴でしたが、確かにシミが目立ちます。シミさえ隠せれば、まだまだ第一線で履けると思った佐藤さんは、シミを隠すためにアレンジさせて欲しい、とその靴を預かることに。

 

DO IT YOURSELF

「まず、そのシミがついた箇所がうまく隠れるように染料をつけたブラシを走らせながら、立体感が出るよう影をつけていきます。さらに濃い色でディテールに濃淡をつけることで、履き込まれて表情が鈍くなった靴にメリハリがつき、細部の美しさもよみがえりました。ワックスで磨きをかけ艶やかになった靴をお戻しするととても満足してくれました。」
佐藤さんがもっともうれしく思ったのは、それまで「履かなくなった」と言っていたその靴が、ふたたび頻繁に履かれるようになったことです。シミのおかげで出番の少なくなった靴が、少し手を加えただけで、お気に入りの晴れの日の靴として復活したのです。一度諦めかけた靴がまた美しくなったときには、新品の靴を手にした時とはまた違う喜びがあるのだと、佐藤さんは確信したそうです。

 

自分でリファインした色、風合いを
ぜひ楽しいでほしい

「私はモノとの健全な付き合い方というのは靴の世界にもあると思っています。シューケアもそのひとつですが、たとえば、未仕上げの靴に自らカラーリングを施し、履き込んで経年変化してきたら、靴の労をねぎらいながら自分の手でその次の色を加えてアレンジをする。そんな靴との付き合い方ができること、またその方法を知ってほしいと思います。」
 
直して使う喜び、その行為も大切にしてほしい、という佐藤さんの願いがそこに込められています。実際にブラスクハウスではアンティーク仕上げなどを施すワークショップを不定期に開催しており、参加した人たちは全員楽しそうに筆を走らせ、プロの佐藤さんから見てもまったく遜色のない素晴らしい作品を作っているそうです。
 
連載の一回目では度々BOQに登場している佐藤さんに、カラーリストとしての想いを伺いました。次回からは自宅でもできる靴のアンティーク仕上げやコバの仕上げ直しなどを紹介していくのでお楽しみに。

DO IT YOURSELF

 

佐藤 哲也(サトウ テツヤ)
大学ではプロダクトデザインを専攻し、その後は仏靴メゾン2社でカラーリストとして腕を磨く。靴に限らずさまざまな領域のカラーリングを手掛けている。伝統的な業界の手法とは異なるアプローチを志向し、顧客参加型のビジネスを立ち上げるべく新しいアトリエの引越し先を物色中。

 

DO IT YOURSELF
DO IT YOURSELF

 

写真:桑田 望美  高橋 敬大


 

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