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英国が誇る”オンリーワン”の傘を仕立てる贅沢。フォックス・アンブレラのビスポーク

2016年12月30日

フォックス・アンブレラ

第8回 FOX UMBRELLAS

英国が誇る”オンリーワン”の傘を仕立てる贅沢。
フォックス・アンブレラのビスポーク

英国傘の代名詞、FOX UMBRELLAS(フォックス・アンブレラ、以下FOX)の傘といえば、洗練されたエレガントなフォルムが特徴だ。シンプルとはいえ、各パーツの素材とデザインにこだわり、職人のハンドメイドで生み出されるため、持った時に独特の個性と格別なオーラを放つ。特に閉じたときの細身のフォルムは美しく、まさにスマートな大人のアクセサリーとして昇華したアイテムなのである。
 

フォックス・アンブレラ

高貴さが漂う正統派クラシックなフォルム。この細いシャフトが閉じたときの細身のシルエットを生む。左はレディス、右はメンズ。


 
今回紹介したいのは既製品ではなくビスポーク。「傘をオーダーメイドする」というと、ビニール傘が一般化した日本ではニーズの少ないように思われるが、FOXではハンドメイドの特性を生かし、充実したオーダーメイドのプログラムが用意されている。好きなハンドルや専用の生地バンチからお気に入りのカヴァー(傘地)を選ぶだけでなく、シャフト(芯)、露先、ティップカップ(傘を閉じたときに露先を留めるリング)、生地を留めるバンド、タッセル(レディスのみ)、石突きなどあらゆるパーツを用意されたサンプルの中から選んで自分だけの特別な1本を作り上げることができるのだ。FOXのファンをはじめ、自分だけの特別な1本や贈り物に、またパートナーとペアで買い求めるケースも多いそうだ。
 

フォックス・アンブレラ

今回はプレスの井上さんにビスポークの詳細を伺った。左はカヴァー用生地バンチ。


 

フォックス・アンブレラ

手に持ってもらうといかに細い傘かよくわかる。右の写真のように配色を楽しめるのもビスポークならでは。


 
 
 

機能とエレガンスを極めた絶品アンブレラ

傘といえばやはり英国製。そんなイメージを現在まで守り続けている世界で最も有名な傘ブランドが1868年にロンドンで創業したFOXだ。当時の傘というのは鯨の骨をフレームに使い、生地は防水性を出すために油を染み込ませたコットンやシルクだった。とうぜん耐久性もなく重くて使いづらい。そんな従来の傘のイメージを払拭させたのが、このFOXなのだ。1947年頃に英国空軍空挺部隊のパラシュートを製作したことからヒントを得て、ナイロン生地の傘を初めて手掛けたのだ。しかもU字型断面のスティールフレームを採用することで、耐久性と軽量化を実現したのである。当時としては画期的な傘だったのだ。
 
 

フォックス・アンブレラ

 

フォックス・アンブレラ

 
また、フレームを金属製に、生地をナイロン製(現在ポリエステル)にすることで“細巻き”の傘を作ることが可能になった。当時の英国紳士は細巻きの傘をステッキのように用いることが多く、小雨程度では傘を開かなかったという。現在でもFOXの傘はロンドン郊外の工場で職人たちが手作業で作る“MADE IN ENGLAND”なのである。生産数も少なく、年間2万~2万5000本程度を維持している。今でも直径8mmのメタルシャフトとU字フレーム(8本)を用いた細巻きタイプの「チューブ(写真上・左)」はFOXの主力コレクションになっている。
 
 
 
 
 
 

手仕事を駆使した豊富なパーツサンプルが揃う

では、オーダーのラインナップを紹介していこう。メタルシャフトで美しい細巻ができるFOXの定番コレクション「チューブ」のハンドルは豊富なバリエーションから選択ができる。人気のハンドルは、定番のマラッカ(籐の茎)を筆頭にグレイン(天然木)、ワンギー(竹)の順。他にもハンドルの種類を挙げておくと、チェスナット(栗の木)、ヒッコリー(クルミ科の木)、アッシュ(トネリコ)、オーク(ナラ)、メープル(楓)、本革巻きなど。珍しいところではニッケルメッキのアニマルヘッド(ラビット、グレイハウンド、ダック、フォックス)、シルバー製のハンドルも英国らしくておすすめだ。ハンドルは約50種類用意されている。スティール部分は黒と茶の2色から選ぶことができる。
 

フォックス チューブラインのハンドル集合

豊富なバリエーションが揃う「チューブ」のハンドル。


 

ハンドル クローズアップ

(写真左)英国人が好む素材、マラッカ。黒い木の斑が特徴で使うほどに艶がでてアメ色になる。斑の個体差、正確な円状でなく加工も難しいため2つと同じハンドルは存在しない。 (左2)マラッカ+樹脂細工のアニマルヘッド。 (左3)ニッケルメッキのアニマルヘッド。アニマルヘッドは動物の豊かな表情が特徴。 (左4)シルバー製のハンドルは、銀無垢材製品と、変色防止加工を施した銀メッキ製品がある。


 
 

フォックス・アンブレラ


カヴァー(傘地)は無地やチェック柄など約30種類以上から選ぶことができる。傘の生地というと一色のイメージが強いが、8枚ハギなので2色の生地を交互に用いることもできるし、1枚のみ違う色にするなど自由に配色張りも可能。傘を巻いたときにポイントカラーになり、ビスポークならではの目印にもなる。細かなところでは玉留(ゴールドかシルバー)や生地を留めるバンド、石突き、ネーム入れ(メタルプレートをハンドルに打ち付ける)も選択できるのだ。

 

傘地とバンド

(写真左)傘地のバンチ、(写真右)バンドのサンプル
(写真右上)傘地を1枚だけ違う色にした傘は既製品にはなく、さりげなくビスポークであることを主張できる。


 

ネーム入れ

 
 

フォックス・アンブレラ

 
木製シャフトを使ったコレクションもある。ハンドルから石突きまでをステッキ職人が1本の銘木から削り出して仕上げる「ソリッド」はマニア好みの最上級品だ。こちらのハンドルはヒッコリー、メープル、チェスナット、ヘーゼル、アッシュなどを選ぶことができる。他にクラシックな木製シャフトを採用した「スティック」と呼ばれるラインもある。中棒には強度のあるバーチ樺材を使い、ハンドルはマラッカとワンギーの2種類程度。どちらのラインも木製のシャフトのため細く巻くことはできないが、重厚で味わい深い趣があり人気のコレクションだ。

 

ネーム入れ

天然材の魅力あふれる木製シャフト。手前4本は「ソリッド」、奥の2本が「スティック」のコレクション用。


 
 
さらにFOXならではの「マラッカリーガル」というものもある。これはハンドルの一部が上下にスライドする仕組みで、露先をハンドルの柄の中に収納することができる“隠し玉止め”を採用。職人技を映し出す人気の仕様だ。
 

傘地とバンド

(写真左・中)はハンドルがスライドする様子。
(写真右)マラッカリーガルで傘を仕上げた状態。露先を留めるリング(ティップカップ)が無いのですっきりと仕上がる。


 
 
 

年に1度のオーダー会で“マイ・オンリーワン・アンブレラ”を手に入れる

現在FOXのビスポークオーダー会は、ヴァルカナイズ・ロンドンなど全国8店舗ほどで時期をずらして年に1回ずつ開催されている。オーダー会では限定柄と限定色の生地を英国より数多く取り揃えられる。その他のパーツ類も分かりやすいサンプルが揃っているので、直感的に自分の好みを反映させた1本を作りあげることができる。納期は約5ヶ月。価格はハンドルや生地、各ラインによって異なるが、定番の「チューブライン」の場合は既製品+5000円程度からオーダーできるそうだ。何よりもFOXはこのような特別な買い方をするのに相応しい、洗練された雰囲気を持っている。個人的には、そこまでこだわった買い方を楽しんでこそブランドの真価を享受できるものと考えている。

 

ヴァルカナイズ・ロンドン店内イメージ

 
最後に気になるリペアだが、英国フォックス・アンブレラ社の認定を受けた職人が純正パーツを使い、既製品とオーダー品、そして新古を問わずすべての製品の修理が日本国内で対応できるそうだ。昔の製品まで修理体制が整っているのは、各パーツの形状が長年ほとんど変更されずに使われているためで、それほどフォックス・アンブレラの製品は当初より完成度が高いということなのだ。但し、傘の生地については流行もあり、同じものが用意できない場合もあるそうだ。詳しくはお店に問い合わせてほしい。

 

木製シャフト
レディス用シャフト

 

タッセルサンプル
傘地バンチ

 
 

Order Price
 
メンズ 2万9000円~(税別)
レディス 3万2000円~(税別)
Shop Data
 
ヴァルカイズ・ロンドン 心斎橋
大阪市中央区南船場4−5−8 1F  TEL.06-4708-8980
■期間: 2017年1月8日(金)~17日(日) ※予約優先
■納期: 約5ヶ月後

 
※フォックス・アンブレラのビスポークオーダー会は、
 ヴァルカナイズ・ロンドン各店にて年に一度開催を予定。
 詳しくはお問合せください。

 
 

お問合せ:ヴァルカナイズ・ロンドン  TEL.03-5464-5255

 
 

文:倉野 路凡  写真:桑田 望美


 

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