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FOX UMBRELLAS Ltd

ドレイクス

第8回 FOX UMBRELLAS

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フォックス・アンブレラ

傘といえばやはり英国製。そんな伝統を現在まで守り続けているのが1868年にロンドンで創業したFOX UMBRELLAS(フォックス・アンブレラ、以下FOX)だ。当時の傘というのは鯨の骨をフレームに使い、生地は防水性を出すために油を染み込ませたコットンやシルクだった。とうぜん耐久性もなく重くて使いづらい。そんな従来の傘のイメージを払拭させたのが、このFOXなのだ。1947年頃に英国空軍空挺部隊のパラシュートを製作したことからヒントを得て、ナイロン生地の傘を初めて手掛けたのだ。しかもU字型断面のスティールフレームを採用することで、耐久性と軽量化を実現したのである。当時としては画期的な傘だったのだ。
 

フォックス・アンブレラ

また、フレームを金属製に、生地をナイロン製にすることで“細巻き”の傘を作ることが可能になった。当時の英国紳士は細巻きの傘をステッキのように用いることが多く、小雨程度では傘を開かなかったという。現在でもFOXの傘はロンドン郊外の工場で職人たちが手作業で作る“MADE IN ENGLAND”なのである。生産数も少なく、年間2万~25000本程度を維持している。今でも直径8mmのスティール(アルミ製)パイプのシャフトとU字フレーム(8本)を用いた細巻きタイプの「チューブライン」は、FOXを代表する主力製品になっている。
 
 

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フォックス・アンブレラ

さて、FOXの傘といえば、洗練されたシンプルなフォルムが特徴だ。シンプルとはいえ、各パーツの素材とデザインにこだわり、職人のハンドメイドで生み出されるため、持った時に独特の個性を放つ。特に閉じたときの細身のフォルムは美しく、まさにスマートな大人のアクセサリーとして昇華したアイテムなのである。
 
今回紹介したいのは既製品ではなくビスポーク。「傘をオーダーメイドする」というと、ビニール傘が一般化した日本ではニーズの少ないように思われるが、FOXではハンドメイドの特性を生かし、充実したオーダーメイドのプログラムが用意されている。好きなハンドルや専用の生地バンチからお気に入りの生地を選ぶだけでなく、シャフト、露先、ティップカップ(傘を閉じたときに露先を留めるリング)、生地を留めるバンド、タッセル(レディスモデルのみ)、石突きなどあらゆるパーツを用意されたサンプルの中から選んで自分だけの特別な1本を作り上げることができるのだ。フォックス・アンブレラのファンをはじめ、自分だけの特別な1本や贈り物に、またパートナーとペアで買い求めるケースも多いそうだ。
 
 

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美しい細巻ができるFOXの定番「チューブライン」のハンドルは豊富なバリエーションから選択ができる。人気のハンドルは、定番のマラッカ(籐の茎)を筆頭にグレイン(天然木)、ワンギー(竹)の順。他にもハンドルの種類を挙げておくと、チェスナット(栗の木)、ヒッコリー(クルミ科の木)、アッシュ(トネリコ)、オーク(ナラ)、メープル(楓)、レザーなど。珍しいところではニッケルメッキのアニマルヘッド(ラビット、グレイハウンド、ダック、フォックス)、スターリングシルバーのハンドルも英国らしくておすすめだ。ハンドルは約50種類用意されている。スティール部分は黒と茶の2色から選ぶことができる。
 
傘生地は無地やチェック柄など約30種類以上から選ぶことができる。傘の生地というと一色のイメージが強いが、8枚ハギなので2色の生地を交互に用いることもできるし、1枚のみ違う色にするなど自由に配色張りも可能。傘を巻いたときにポイントカラーになり、ビスポークならではの目印にもなる。細かなところでは玉留(ゴールドかシルバー)や生地を留めるバンド、石突き、ネーム入れ(メタルプレートをハンドルに打ち付ける)も選択できるのだ。
 
ハンドルから石突きまでをステッキ職人が1本の銘木から削り出して仕上げた「ソリッドライン」はマニア好みの最上品だ。こちらのハンドルはヒッコリー、メープル、チェスナット、ヘーゼル、アッシュを選ぶことができる。他に木製シャフトを採用した「スティック」と呼ばれるラインもある。中棒には強度のあるバーチ樺材を使い、ハンドルはマラッカとワンギーの2種類のみ。どちらのラインも細く巻くことはできないが、重厚で味わい深い趣があり人気のモデルだ。
 
さらにFOXならではの「マラッカリーガル」というものもある。これはハンドルの一部が上下にスライドする仕組みで、露先をハンドルの柄の中に収納することができる“隠し玉止め”を採用。職人技を映し出す人気の仕様だ。
 
 

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現在FOXのビスポークオーダー会は、ヴァルカナイズ・ロンドンなど全国7~8店舗で時期ずらして年に1回ずつ開催されている。オーダー会では限定柄と限定色の生地を英国より数多く取り揃えるそうだ。その他のパーツ類も分かりやすいサンプルが揃っているので、直感的に自分の好みを反映させた1本を作りあげることができる。納期は約5ヶ月。価格はハンドルや生地、各ラインによって異なるが、定番の「チューブライン」の場合は既製品+5000円程度でビスポークできるそうだ。何よりもFOXはこのような特別な買い方をするのに相応しい、洗練された雰囲気を持っている。個人的には、そこまでこだわった買い方を楽しんでこそブランドの真価を享受できるものと考えている。
 
最後に気になるリペアだが、英国フォックス社の認定を受けた職人が純正パーツを使い、既製品とオーダー品、そして新古を問わずすべての製品の修理が日本国内で対応できるそうだ。昔の製品まで修理体制が整っているのは、各パーツの形状が長年ほとんど変更されずに使われているためで、それほどフォックス・アンブレラの製品は当初より完成度が高いということなのだ。但し、傘の生地については流行もあり、同じものが用意できない場合もあるそうだ。詳しくはお店に問い合わせてほしい。

2016.12.28 UPDATE

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