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世にふたつと存在しないオーダー仕立ての旅道具

2016年11月6日

バーニベット ワードローブ

第6回 BURNIVET

世にふたつと存在しないオーダー仕立ての旅道具

2007年にスタートした日本のバッグブランド、BURNIVET(バーニベット)。兵庫県豊岡市の工場で作られるバルカナイズドファイバー製のトローリーケースやブリーフケースは、純国産バルカナイズドファイバーバッグとして人気が高い。もともと豊岡市は柳行李(やなぎごうり)の産地として知られていた地域。柳行李は奈良時代から江戸時代にかけて生産されたトランクの原点のような存在だ。そんな古のトランクと縁のある生産地で作られるバルカナイズドファイバー製のバッグは、期待したとおりに完成度が高い。
 

バーニベット ワードローブ

バーニベットの最新作。航空機無料預け入れ最大サイズに仕上げられたシングルサイズのワードローブ。


 

素材と高度な技術を駆使して生まれる機能性と風格

本題に入る前にバルカナイズドファイバー素材について触れておこう。バルカナイズドファイバーは1859年にイギリスで開発された比較的新しい素材で、紙を何層にも重ね合わせて塩化亜鉛溶液を使って圧縮加工してできる素材だ。日本でも大正末期から昭和にかけてバッグの素材として使われてきた歴史がある。曲げる作業には職人の技術を必要としているため、大変手間のかかる工程が多いのだ。そのためバルカナイズドファイバーの生まれた本国イギリスでも作れるメーカーはごく限られている。しかも、そのバルカナイズドファイバーを短冊状にして編み込むという技術はバーニベットだけだ。現在、バーニベットの豊岡工場では1.6mm厚のバルカナイズドファイバーを油圧プレス機で曲げているのだが、曲げに必要な熱を加える作業は職人の経験による勘に頼っているようだ。
 

バーニベット ディテールアップ

 

使われる素材は軽量で強靭な特性をもつ硬質繊維のバルカナイズドファイバーを使用している。樹脂のように劣化することなく、弾力性に富み、衝撃にも強い。まさにバッグに最適な素材なのである。現在でも国内で3社がバルカナイズドファイバー製のトランクを生産しているが、特にバーニベットでは、バルカナイズドファイバーに車のボディーカラー塗装と同じアクリル焼き付けで艶やかな塗装を施し、優れた防水・防傷性を与えている。この風格ある質感も人気の理由だろう。
 
 
 

大型トランクをはじめ全ラインナップがオーダー可能

さて前置きが長くなったが、今回はそのバーニベットを、羽田空港ターミナル1内の「イセタンメンズ羽田ストア」で販売を開始し、そこでは普段は見れない大型のトランク“ワードローブ”の取り扱いや、トローリーやアタッシェケース、トートバッグ、クラッチバッグなどの定番製品もオーダーメイドできるということで訪ねてみた。

 

イセタンメンズ羽田ストア 店内
イセタンメンズ羽田ストア 店内

イセタンメンズ羽田ストアの店内。(写真左)オーダーの際はここで落ち着いて各パーツを選び注文が出来る。(写真右)常設のバーニベットコーナーにはアタッシェケース、クラッチバッグが並ぶ。


 

バーニベット 全ラインナップ

(1列目左から)アタッシェケース、トートバッグ、クラッチバック、(2列目)トローリー、(3列目左から)船旅用ワードローブ、シングルサイズのワードローブ


 
まず、このワードローブは2007年の創業当初から受注生産で手掛けている大型のトランクで、船旅が主流だった第二次世界大戦前の優雅な時代を彷彿させる逸品だ。従来の船旅用に加え、飛行機での移動が当たり前の現在に合わせて航空機無料預入の最大サイズ内に設計されている。同ブランドの一般的なバッグはバルカナイズドファイバーのみで作られるのだが、このワードローブは合板で形成後にバルカナイズドファイバーを張り付けているのだ。アクセントになっている補強用の木枠には丈夫なブナ材を使用し、引き出し部分は和箪笥と同じように桐材(ファーストサンプルから変更)を使っている。コーナーや錠前の金属には本金メッキを施した鉄を使用し、耐久性と高級感を演出している。

ちなみに一般的なバッグの職人とアタッシェケースなどの箱ものを作る職人は別である場合が多い。しかしこのワードローブも豊岡の工場で生産されているのだ。それだけ手掛ける職人は技術力の高い集団なのである。

 

船旅用ワードローブ ハンガー

船旅用のワードローブの内部。洋服が動かないように固定できるハンガーが4着分。反対側はシャツや靴が入るサイズの引き出しになっている。


 

船旅用ワードローブ ハンガー

(写真右)補強に木材を使用しているところがクラシックで素敵だ。(写真左)航空機用のワードローブの内部はサイズに制限がある分収納部は工夫を凝らしている。


 
ワードローブは受注生産のカスタムオーダーであるが、一般的なトローリーやバッグ製品も同様に製品価格の30%増し程度でカスタムオーダーすることが可能なのだ。編み込まれたバルカナイズドファイバーの色は100色から選ぶことができる。この色数の多さは先にも述べたように、車の塗装と同じにしているから。以前は豊岡の工場でバッグ職人が色付けしていたのだが、車専用の塗装のブースで専門の職人に任せるようになった。そのため塗装のグレードが上がったそうである。車と同じ塗装のため撥水性、耐久性に優れているのが特長だ。
また、ハンドルやコーナーの補強用の金属(一般製品用はアルミに塗装)や革(牛革のヌメが中心)、ライニングの色も選ぶことができる。一般のバッグは納期3ヶ月間、ワードローブが納期6ヶ月間である。

 

トローリー、アタッシェケース、クラッチバッグ

トローリーやアタッシェケースも自分の好みでオーダーするのもおすすめ。編み込みをしていないタイプも塗装の艶やかさが際立ちとても美しい。


 

塗装の見本

こちらはアクリル焼き付け塗装の色見本。車と違いバルカナイズドファイバーに塗装するため多少気泡が入るそうだ。


 

船旅用ワードローブ ハンガー

左がライニングの生地見本。右がコーナー用の金具と革の見本。中心のグレーの金具は汚しをかけたビンテージ仕上げ。


 
さらにこのブランドの優れているところはアフターケアがしっかりしているということ。修理も豊岡の工場で行っているため修理代もリーズナブルだ。オーバーホールは製品の半分くらいの値段でできるそうだ。ファイバー部分のみ再塗装も可能なのだが、取り外したリベットは使えなくなり、結果的に交換になってしまう。そのため、再塗装する場合はオーバーホールにした方が賢いらしい。詳しくはスタッフに問い合わせてもらいたい。

 

自分仕様のトランクがあれば旅はもっと味わい深くなる

バーニベットのカスタムオーダーの醍醐味はやはりファイバー部の色だ。自動車と同じ塗装にしていることもあり、愛車と同じ色を選ぶお客さんもいるとか。愛車のボディーカラーと同じトランクは、オーナーにとって贅沢で価値あるものになるに違いない。自分らしさを追求できるカスタムオーダーはやはり魅力だ。

 

マットな塗装

最近ハマーやランボルギーニで見かけるマットな塗装も可能。


 
国産にこだわるとともにオリジナリティに、ここまで徹底してこだわっているトランクが他にあるだろうか? 技術に偏重することなく、ファッション性を反映させたデザインとくれば、おそらく他にはないだろう。ラグジュアリーブランド製が目立つことの多いオーダートランクだが、バーニベットの存在はメイド・イン・ジャパンのプライドを大いに鼓舞してくれる。

 

マットな塗装

空港内なので出張や旅行の際に立ち寄ってほしい。


 
 
 

Order Price
 
ワードローブ(シングルサイズ・航空機預入可能)
サイズ:幅83cm×奥行26cm×高さ43cm。
受注生産品。納期6ヶ月。価格50万円(税別)

ワードローブ(船旅用)
サイズ:幅68cm×奥行57.5cm×高さ103.5cm(106.5cm底足含む)。
受注生産品。納期6ヶ月。価格160万円(税別)

トローリー 22万円(税別)
アタッシェケース 12万円(税別)
トートバッグ 7万3000円(税別)
クラッチバッグ 2万6000円、3万8000円(税別)
※以上4点はカスタムオーダーの場合、価格は30%アップ。納期3ケ月。

Shop Data
 
イセタン羽田ストアメンズ ターミナル1
東京都大田区羽田空港3-3-2
第一旅客ターミナル2F 北ウィング
TEL.03-5757-8700

 

お問合せ:ジェネラルバス TEL.03-5456-9680  generalbass-jp.tumblr.com

 

文:倉野 路凡  写真:桑田 望美


 

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