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着心地と着る人の魅力を引き出してくれる本格ビスポーク MINAMI SHIRTS

2016年8月6日

南シャツ

第3回 MINAMI SHIRTS

着心地と着る人の魅力を引き出してくれる
本格ビスポーク MINAMI SHIRTS

現在国内でオーダーシャツと呼ばれているものの多くは、いわゆるパターンオーダーと呼ばれるシャツだ。注文主を採寸し、生地の見本帳(バンチブック)から好きな生地を選び、採寸データと生地を縫製工場へ送り仕立てるというもの。カラー(襟)とカフ(袖口)、前立て、背のダーツ位置などが数種類用意され、その中から選ぶというシステムだ。そのほとんどはマシンメイドである。
 
今回紹介したいMINAMI SHIRTS(以下、南シャツ)はパターンオーダーではなく、ビスポークシャツである。2つの大きな違いは型紙の製作、手縫いの箇所の有無、大きな縫製工場ではなく小さな工房での細かな縫製だ。

 

南シャツ_店内
東武アーバンパークラインの江戸川台駅近くの住宅街に位置する店舗内。自然光が入る明るい店内には、サンプルシャツと生地が並んでいる。喧騒を逃れた場所で落ち着いてオーダーすることが出来る。

 

南シャツ_外観
店舗は閑静な住宅街にひっそりと佇む正面看板が目印の一軒家。大きな窓から店内の様子が伺えるので、迷うことなく辿り着けます。

 
 

オーダーシャツの良さを伝えたい。縫製職人からビスポーク職人へ

南シャツは南祐太さんが主宰する千葉県流山市にあるビスポークシャツ専門店で、都内や地方からも来店する人が多いとか。もともと南さんはシャツの縫製工場で実際に縫っていた経験者。独立後に地元に店舗兼工房を構えたというわけだ。彼の凄いところは縫製だけでなく型紙の製作と裁断、採寸をしっかり習得したことだ。つまりビスポークシャツに必要なすべての工程を習得したのである。彼はオーナーであり職人なのだ。
 

南シャツ_南祐太
写真は南シャツを主宰する南祐太さん。現在、オーダーシャツ業界は60~70代の下請け職人が中心で、南さんのような若手は少数。さらに、作り手が前に出て採寸から縫製・仕上げまでやるスタイルは皆無だという。

 
店舗の奥には工房があり、南さんも含めて3人の職人が毎日シャツを作っている。外部の下請けに出すこともなく、すべての工程をこの工房内で行っているのだ。そのために1日に4枚、1ヶ月に80~90枚程度しか生産できないという。クオリティにこだわっているため手間のかかる工程数も多く、わずか4枚しか作れないのである。
 

南シャツ_工房
店舗の奥の工房。取材した日は奥で南さんが裁断を行い、ミシン、プレスと手分けして作業が行われていた。いわゆる、一人の職人が最初から最後まで手掛けるベンチメイドではなく、分業で作業するのだが、それでも日産4着というから、いかに手をかけて作られているかが分かるだろう。

 
 

細かな採寸と対話から作る型紙が一番のこだわり

現在南シャツが展開するラインは「マシンメイド」「ハーフハンド」「フルハンド」の3ラインで、メインはマシンメイド。つまりミシンでの縫製だ。「マシンメイド」といっても「ハーフハンド「フルハンド」と同様に採寸後に型紙を作ってくれる。
 

南シャツ_フルハンド
フルハンドの作業風景。非常に手間がかかるため生地にもよるが1着10万円をこえる。

 

南シャツ_分業
左はミシンによる襟を作る作業。右はプレス作業。

 
採寸は首、肩幅、左右の裄丈、バスト、ウエスト、ヒップ、背丈、手首、袖ぐりの他に、パターンオーダーではまず計測しない左右の肩の傾斜、前首、前肩、袖のフリ具合なども計測してくれる。こういった細かなデータをもとに型紙を製作。型紙と縫製の工程で体型補正をしていくのだ。
 

南シャツ_採寸票

 

南シャツ_ノータイの襟
南シャツではノータイ専用、兼用、ネクタイ専用の3種類から選べる。左の写真はノータイ専用で作られているので、第2ボタンまで開けても、もたつくことなくピンと立った状態を保つのだ。アスコットタイをする場合も美しい襟元を演出してくれる。

 
南シャツの型紙製作はパタンナーが定規を使って行う昔ながらの方法ではなく、さまざまな体型に対応するデータを入力したパソコンの中で行っていて、原寸大の型紙がプリントアウトされるのだ。この型紙に若干修正を加えるなどして型紙が完成するとのこと。
 

南シャツ_型紙作業

 
 

きめ細やかな工程。仕上がりはもちろん、美しい

その型紙をベースにシャツの生地を裁断していくのだが、鋏ではなく回転式の刃がついたカッターで行う。
また、生地の種類や番手などによっては事前に水洗いをして縮ませておくそうだ。購入後に洗ったら縮んだ、ということがないように未然に防いでくれているのだ。そして嬉しいことにボタンも職人による手縫いなのだ。
※最近の生地は技術の進歩で縮むことが少なくなり水洗いをしないことも多いそうです。

 

南シャツ_原寸大の型紙
採寸データを元にパソコンで型紙を作成。左の写真がプリントアウトされた型紙だ。この型紙を生地の上に置きパーツを切り出していく。

 

南シャツ_回転式カッター
鋏を使わず、あえて回転式のカッターを使うのは、こちらの方が断然作業が早いからだという。ビスポークの工房ではあまり見ないやり方だが、こうして作業時間を短縮することで手頃な価格を実現しているのだ。

 
ビスポークシャツらしいのはやはり「フルハンド」のシャツだろう。袖付けや襟、ヨークなど要所手縫いにしている。実際に袖口を裏返して確認したが、剣ボロの処理も丁寧だった。袖付けの方法も、ジャケットと同じ付け方を採用。注文主の体型によって袖をつける角度も少し変わるという。既製品やパターンオーダーにはない着心地につながっているのだ。
 

南シャツ_剣ぼろ
先が剣の先ようにとがっていることから剣ボロと呼ばれる袖先部分。剣ボロの裏側に裁ち端が出ないよう丁寧な縫製をしている。

 

南シャツ_スプリットヨーク
写真はフルハンドのサンプル。左はアームホールを裏から見たところ。ステッチを見れば手縫いであることが分かる。右は肩から背中にかけての切り替え部分。シャツの肩部分を背中心を境に2つに割って仕立てたスプリットヨークになっており、生地の縦糸横糸の地の目を肩の丸みに合わせることでフィット感がアップする。

 

南シャツ_ギャザー
左は背中の運動量を補助するために入れるギャザー。このギャザーは高度な縫製テクニックを必要とする。右はスリーブからカフにつながる部分。こちらもギャザーが多ければ多いほど仕立に手がこんでいる証拠であり袖のラインも優雅に見える。

 
 

上質なシャツ生地、見本も充実して揃う

シャツ生地は国産、インポートどちらも豊富に揃っている。人気は「トーマスメイソン」のビスポークシリーズとコットン・リネンが人気のトルコの「ソクタス」。また、南シャツオリジナルのオックスフォードも用意。触った感じは意外としっとりとした生地で、ドレスシャツにも向いている。マシンメイドで3万円+税。
 

南シャツ_国産生地
国産生地の反物。国産であればアンダー2万円からと、インポートの既成シャツより安くオーダーシャツ作れる。

 

南シャツ_トーマスメイソン
手前はトーマスメイソンの生地。1796年創業のトーマスメイソンは、稀代の洒落者として知られるウインザー公も愛用していた。

 
他にも旧型の織機でゆっくりと織られた「カルロリーバ」や、スイスコットンでお馴染みの「アルモ」もおすすめ。ちなみに南さんは「アルモ」のしっとりとした質感がお気に入りとか。ちなみに、「アルモ」の170番双糸はマシンメイドで3万円+税、120番双糸のマシンメイドは2万6000円+税。

南シャツ_カルロリーバ
南さんお薦めのカルロリーバの生地。カルロリーバは、ネクタイを織るのと同じ古いシャトル織機で時間をかけてゆっくりと生地を織り上げている。

 

南シャツ_アルモ
左の写真はアルモの生地。手摘みの綿花を使用し、ホルマリンを使用せず、すべての工程はスイスで仕上げている。
下の写真は1876年創業のイタリア3大生地メーカーのひとつアルビニの生地を使ったシャツ。

 

南シャツ_アルビニ

 
襟型見本、カフの見本も充実しており、オーダーの内容や手順も分かりやすい。何より南さんと対話をしながら好みのかたちを具現化していけるオーダーならではの愉しみを満喫したい。

 

南シャツ_襟型見本

 

南シャツ_カフ見本

 

南シャツ_シャツボタン

 
 

シャツこそオーダー入門におすすめ

現在国内のシャツ職人の数は極めて少ない。さらにシャツ職人が主宰するビスポークシャツのお店となると、本当に数が少ないのだ。そんな中で、確かなクオリティでありながらこの価格を実現しているところに、南さんのオーナーとしての実力も伺える。南シャツに遠方から通うシャツ好きの気持ちもよくわかる。南さんはシャツ職人の希望ともいえる存在だ。

 

南シャツ

 
 
シャツは直接肌に触れるものなので初心者であってもオーダーの良さを実感できるアイテムだ。まずは「マシンメイド」からでもいいし、最高峰の「フルハンド」を試したい方もぜひ来店してほしい。
先日は中国と香港でトランクショーを行ってきたそうだ。国内でも定期的にトランクショーを行っているので、遠方の人はぜひ問い合わせ願いたい。

 

南シャツ
南シャツ

 

南シャツ
南シャツ

 
 

Order Price
 

国産の生地1万7000円~
インポート生地3万円前後~
※価格はマシンメイド。すべて税別
※ハーフハンド、フルハンドの場合はアップチャージ
※納期は1ヶ月半後
Shop Data
 
 
MINAMI SHIRTS
千葉県流山市江戸川台西3-74-4
TEL 04-7179-5514
※要予約
www.minami-shirts.com

文:倉野 路凡  写真:桑田 望美


 

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