着心地と着る人の魅力を引き出してくれる本格ビスポーク MINAMI SHIRTS
第3回 MINAMI SHIRTS
着心地と着る人の魅力を引き出してくれる
本格ビスポーク MINAMI SHIRTS
現在国内でオーダーシャツと呼ばれているものの多くは、いわゆるパターンオーダーと呼ばれるシャツだ。注文主を採寸し、生地の見本帳(バンチブック)から好きな生地を選び、採寸データと生地を縫製工場へ送り仕立てるというもの。カラー(襟)とカフ(袖口)、前立て、背のダーツ位置などが数種類用意され、その中から選ぶというシステムだ。そのほとんどはマシンメイドである。
今回紹介したいMINAMI SHIRTS(以下、南シャツ)はパターンオーダーではなく、ビスポークシャツである。2つの大きな違いは型紙の製作、手縫いの箇所の有無、大きな縫製工場ではなく小さな工房での細かな縫製だ。
オーダーシャツの良さを伝えたい。縫製職人からビスポーク職人へ
南シャツは南祐太さんが主宰する千葉県流山市にあるビスポークシャツ専門店で、都内や地方からも来店する人が多いとか。もともと南さんはシャツの縫製工場で実際に縫っていた経験者。独立後に地元に店舗兼工房を構えたというわけだ。彼の凄いところは縫製だけでなく型紙の製作と裁断、採寸をしっかり習得したことだ。つまりビスポークシャツに必要なすべての工程を習得したのである。彼はオーナーであり職人なのだ。
店舗の奥には工房があり、南さんも含めて3人の職人が毎日シャツを作っている。外部の下請けに出すこともなく、すべての工程をこの工房内で行っているのだ。そのために1日に4枚、1ヶ月に80~90枚程度しか生産できないという。クオリティにこだわっているため手間のかかる工程数も多く、わずか4枚しか作れないのである。
細かな採寸と対話から作る型紙が一番のこだわり
現在南シャツが展開するラインは「マシンメイド」「ハーフハンド」「フルハンド」の3ラインで、メインはマシンメイド。つまりミシンでの縫製だ。「マシンメイド」といっても「ハーフハンド「フルハンド」と同様に採寸後に型紙を作ってくれる。
採寸は首、肩幅、左右の裄丈、バスト、ウエスト、ヒップ、背丈、手首、袖ぐりの他に、パターンオーダーではまず計測しない左右の肩の傾斜、前首、前肩、袖のフリ具合なども計測してくれる。こういった細かなデータをもとに型紙を製作。型紙と縫製の工程で体型補正をしていくのだ。
南シャツの型紙製作はパタンナーが定規を使って行う昔ながらの方法ではなく、さまざまな体型に対応するデータを入力したパソコンの中で行っていて、原寸大の型紙がプリントアウトされるのだ。この型紙に若干修正を加えるなどして型紙が完成するとのこと。
きめ細やかな工程。仕上がりはもちろん、美しい
その型紙をベースにシャツの生地を裁断していくのだが、鋏ではなく回転式の刃がついたカッターで行う。
また、生地の種類や番手などによっては事前に水洗いをして縮ませておくそうだ。購入後に洗ったら縮んだ、ということがないように未然に防いでくれているのだ。そして嬉しいことにボタンも職人による手縫いなのだ。
※最近の生地は技術の進歩で縮むことが少なくなり水洗いをしないことも多いそうです。
ビスポークシャツらしいのはやはり「フルハンド」のシャツだろう。袖付けや襟、ヨークなど要所手縫いにしている。実際に袖口を裏返して確認したが、剣ボロの処理も丁寧だった。袖付けの方法も、ジャケットと同じ付け方を採用。注文主の体型によって袖をつける角度も少し変わるという。既製品やパターンオーダーにはない着心地につながっているのだ。
上質なシャツ生地、見本も充実して揃う
シャツ生地は国産、インポートどちらも豊富に揃っている。人気は「トーマスメイソン」のビスポークシリーズとコットン・リネンが人気のトルコの「ソクタス」。また、南シャツオリジナルのオックスフォードも用意。触った感じは意外としっとりとした生地で、ドレスシャツにも向いている。マシンメイドで3万円+税。
他にも旧型の織機でゆっくりと織られた「カルロリーバ」や、スイスコットンでお馴染みの「アルモ」もおすすめ。ちなみに南さんは「アルモ」のしっとりとした質感がお気に入りとか。ちなみに、「アルモ」の170番双糸はマシンメイドで3万円+税、120番双糸のマシンメイドは2万6000円+税。
襟型見本、カフの見本も充実しており、オーダーの内容や手順も分かりやすい。何より南さんと対話をしながら好みのかたちを具現化していけるオーダーならではの愉しみを満喫したい。
シャツこそオーダー入門におすすめ
現在国内のシャツ職人の数は極めて少ない。さらにシャツ職人が主宰するビスポークシャツのお店となると、本当に数が少ないのだ。そんな中で、確かなクオリティでありながらこの価格を実現しているところに、南さんのオーナーとしての実力も伺える。南シャツに遠方から通うシャツ好きの気持ちもよくわかる。南さんはシャツ職人の希望ともいえる存在だ。
シャツは直接肌に触れるものなので初心者であってもオーダーの良さを実感できるアイテムだ。まずは「マシンメイド」からでもいいし、最高峰の「フルハンド」を試したい方もぜひ来店してほしい。
先日は中国と香港でトランクショーを行ってきたそうだ。国内でも定期的にトランクショーを行っているので、遠方の人はぜひ問い合わせ願いたい。
国産の生地1万7000円~
インポート生地3万円前後~
※価格はマシンメイド。すべて税別
※ハーフハンド、フルハンドの場合はアップチャージ
※納期は1ヶ月半後
文:倉野 路凡 写真:桑田 望美
2016.08.06 UPDATE
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