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帽子もオーダーを楽しんで。ブルーシアーズの新提案“ビスポークハット”の魅力

2016年7月1日

ブルーシアーズ_ビスポークハット

第2回 ブルーシアーズ

帽子もオーダーを楽しんで。
ブルーシアーズの新提案“ビスポークハット”

帽子といえば既製品が当たり前のようだが、注文主の要望に応えて一から作るビスポークハットというのがある。今回紹介するのは日本では数少ないビスポークハットを作る帽子職人(bespoke hat maker)、見上真紀(みかみまき)さんの帽子だ。
見上さんがこの世界に入ったのは、ある時、皇室の帽子を手がけている平田暁夫さんのお店の前を通りかかり、店内に入ったのが興味を抱いたきっかけだという。平田さんが主宰する平田暁夫帽子教室に3年間通い技術を習得し、その後アトリエに入り15年間にわたって帽子を製作してきた。現在、見上さんは独立し、サヴィルロウの老舗ギーブス&ホークス仕込みのテーラーとして知られる、BLUE SHEARS(ブルーシアーズ/久保田博 主宰)の帽子部門として活躍している。メンズだけではなく、レディスの帽子も作ることができる。

ブルーシアーズ_ビスポークハット
二子玉川にあるブルーシアーズの工房は表参道・青山学院近くのビル7階にもあり、注文や採寸もここで行われている。ビスポークハットの作業場はこの工房だ。

 

ブルーシアーズ_ビスポークハット
一見職人とは思えない見上真紀さん。右の写真は、見上さんが帽子作りの経験を積んだアトリエ、平田暁夫氏の作品集。当時の経験を活かして、ブルーシアーズでもレディスの帽子製作も受け付けている。

 
 

お洒落を追求するなら帽子はビスポークがおすすめ

さて、ビスポークの帽子はビスポークスーツと同様に注文主のサイズに合わせて作るものだが、そんな単純な話でもない。もっと奥が深いのだ。日本人の頭の形は前後に長い欧米人に比べて、額が張って後頭部も絶壁。形がバウムクーヘンのように円い人が多い。つまり頭の形が悪く、帽子が似合いにくいのだ。そのため、サイズだけ合わせてそのまま作ってしまえばカッコ悪い帽子になってしまう。

ブルーシアーズ_ビスポークハット
制作過程で作るお客様の頭の型のひとつ。並べてみると頭の形の違いが良く分かる。サイズをはじめ、細かな調整をして個々の頭の形、顔立ちにあった帽子を作っていく。

 

そこで見上さんは注文主の頭のサイズに合った帽子を作りながらも、クラウンの高さやブリムの幅のバランスを調整したり、おでこと後頭部側に部材をかませて楕円形にして美的補正するのである。まるで欧米人が帽子をかぶっているように見せてくれるのだ。
 

ブルーシアーズ_ビスポークハット
頭の形の凹みに部材を入れて美しい楕円形を作る。これで帽子自体も美しい形に形成される。

 

ブルーシアーズ_ビスポークハット
クラウンの高さとブリムの幅で印象は大きく変わる。顔立ちにあわせて、カッコ良く見えるように調整ができるのもビスポークならでは。

 

ブルーシアーズ_ビスポークハット
裏の作りの良さが高品質の証というのは帽子も同じ。調整した部分は美しく整えて裏リボンの下に。丁寧な手仕事を伺える。

 
 

“カッコ良く”も見せてくれる仕上がりにも満足

ここで日本でもファンの多い有名帽子ブランドの話をしようと思う。このブランドのソフト帽は柔らかい高品質の兎毛を使っているため、頭の形の円い人がかぶっても生地がすぐに馴染んでくれる。かぶっていてじつに楽なのだ。だからといってサイズが合っているというわけではなく、むしろ形の悪い頭に沿って型くずれしてしまい、そのまま気づかずにかぶっているといった感じなのだ。柔らかいため毎日違う形の帽子をかぶっているようなもの。つまりもっとも似合うベストな状態をキープできないのだ。もともと頭の形のいい人にはよく似合う、高品質な帽子だとは思うが。
その点ビスポークの帽子は頭にフィットしながらも頭の形の悪さや、顔の形に似合うベストな帽子を作り上げてくれ、それをずっとキープしてくれるのである。
 

ブルーシアーズ_ビスポークハット

 

ブルーシアーズ_ビスポークハット

 
 

帽子という小さなアイテムといえども、立体型から作る本格派

では、具体的な帽子の制作過程を説明しておこう。
 
まず頭の周囲のサイズをワイヤー入りのメジャーで採寸し、その後、普通のメジャーで帽子をかぶる深さを計測する。具体的には頭の前後(おでこ~後頭部)と、横(耳~頭~耳まで)のサイズを計測する。頭の周囲を計測した頭の形を象ったワイヤー入りメジャーをそのまま画用紙に写すのである。
 

ブルーシアーズ_ビスポークハット

 
それをベースにベンという厚紙でできた平面的な型を作る。さらにペーパースパットリーという特殊な網状のもので立体的なデザインの型を作っていくのだ。
 

ブルーシアーズ_ビスポークハット

 
ペーパースパットリーは湿らせて乾燥させると形状記憶する特徴があり、成形した後に石膏のようなものを塗ってカチカチに固めていく。この型作りがけっこう時間と体力のいる面倒な作業なのだ。こうしてできた立体的な型を使って帽子を成形していくのである。
 

ブルーシアーズ_ビスポークハット

 
 

ビスポークならば素材、デザイン、ディテールは自由自在

帽子に使う素材だが、春夏と秋冬では使う素材も変わってくる。春夏だと涼感のある麻(写真下・右)や麦(写真下・左)などのブレードと呼ばれる平紐状のものを使う。
 

ブルーシアーズ_ビスポークハット

 
専用の環縫い(下糸のない縫い方)のミシンで、帽子のクラウンの中心あるいはサイドから渦巻き状にグルグル縫っていく。縫いながら作った型に合わせて調整していくのだ。今ではこの環縫いミシンの台数がそもそも少ないため、環縫いで帽子を作れる職人さんの数も少ないようだ。その点、見上さんは平田暁夫さんのアトリエでブレードを使った帽子をたくさん作ってきた実績がある。技術力は高く、安心して任せられる職人さんなのだ。
 

ブルーシアーズ_ビスポークハット

 

ブルーシアーズ_ビスポークハット

 

ブルーシアーズ_ビスポークハット

 
余談だが、よく百貨店の帽子コーナーで売っている指定外繊維と記されたペーパー(ブレード)を使った帽子があるが、安価な分、重くて蒸れやすいという欠点がある。涼しさを求めるならやはり麻のブレードがおすすめ。麦は年々色が濃くなるという特徴があり、経年変化を楽しみたい方にはおすすめしたい素材だ。
 

ブルーシアーズ_ビスポークハット

 
麻や麦のブレードを使ってもデザインにあまり制約もなく、ボーラーハットをはじめ、ソフト帽(中折れ帽)やシルクハットでも制作することもできる。
 

ブルーシアーズ_ビスポークハット

 
また、ブリムの上と下(表と裏)の色が異なるダブルブリムというデザインにすることも可能で、ツートンカラーの面白さがなかなか洒落ている。また、布地を使ったキャスケット(ハンチング)などの帽子も制作することが可能で、季節に合った布地を選んで作ってくれる。
 

ブルーシアーズ_ビスポークハット

 
秋冬のメインの素材はファー(兎毛)で、作り方は春夏のブレードとはまったく異なる。ファーの帽体を型に合わせてスチームとアイロンワークで成形していく方法だ。帽体というのはフェルト状になった素材のことでチェコ製が多い。じつはファーの帽子作りもかなりの重労働で、その工程を見せてもらって驚いた。ほんと力仕事なのだ!
 

ブルーシアーズ_ビスポークハット
秋冬の帽子3点。茶色のキャスケットは貴重なビキューナを使用。ホンブルグとソフト帽はビーバー。

 
 

優しく語りかけてくるビスポークハットは初心者にもおすすめ

昨年末に秋冬ものを作ってもらったのだが、仮縫いを2回行った。その際にクラウンの高さを微調整し、ブリムの幅を短くするかなど、顏とのバランスを鏡の前で何度も確認してもらった。それが安心感につながったのだと思う。見上さんと二人で作り上げたという喜びがある。もちろん既製品の帽子にも高品質で魅力的なものも存在するが、帽子職人と二人で作っていく帽子というのも思い出が詰まって楽しいものだ。もしイメージできる雑誌や写真、帽子があれば持参してほしいとのこと。
 

ブルーシアーズ_ビスポークハット
お客様の依頼で制作したパイナップルをモチーフにした飾り。(オプション)

 

ブルーシアーズ_ビスポークハット
完成した帽子はハットケースに入れて納品される。こちらも見上さんの手作り。帽子をより良い状態で保管するためにハットケースは欠かせない。中にはハットを納める台座も付き。

 

ブルーシアーズ_ビスポークハット
ブルーシアーズ_ビスポークハット

 

ブルーシアーズ_ビスポークハット
ブルーシアーズ_ビスポークハット

 

ブルーシアーズ_ビスポークハット
ブルーシアーズ_ビスポークハット

 
 

Order Price
 

麻、麦のブレードを使った帽子 5万5000円~
生地を使った帽子 4万5000円~
ファー(兎毛)を使った帽子 6万円~
※仮縫い2回
※価格はすべて税込み
※納期は2~3ヶ月後
Shop Data
 
 
ブルーシアーズ
東京都渋谷区渋谷2-6-8 ST青山702号
TEL 03-3707-4611
※要予約
blueshears.com

文:倉野 路凡  写真:桑田 望美


 

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