The Shoe Work Shop
サンプル4点。左から/伸縮性や復元性に優れ、雨に強いラマ(ラクダ科の動物)の革が使われたローファー、独カール・フロイデンベルクのデッドストックボックスカーフ製タッセルローファー、国産コードバン製ストレートチップ、仏デュプイの吟付きベロア製モンク。
– BOQ + SARTO PRESENTS - WE LOVE SHOES MADE TO ORDER Vol.8 THE SHOE WORK SHOP
ザ・シュー・ワーク・ショップ オーダー会開催
開催日:2016年4月1日(金)~4月30日(土) 会場:サルト銀座店、サルト原宿店 詳しくはコチラ↓
靴の求道者が心血を注いで作る
ビスポークは、美しく品よく佇む
第一線で活躍するベテランでありながら、ときに他の工房の門を叩き、そのノウハウを学んで自己の技と知識の深化を図る。簡単に見えても、誰しも自身の立場に置き換えれば、実はこれが容易なことではないと理解できるはず。ビスポークの靴工房「ザ・シュー・ワーク・ショップ」の末光宏さんは高いスキルをもちながら、それに甘んじることなく、キャリア20年の今日もなお、他者から学ぶことを厭わぬ向上心の持ち主です。
キャリアに奢らず、技に溺れぬ謙虚な姿勢
末光宏さんは1971年、東京生まれ。22歳のある日、たまたま訪れた浅草でゴム集積所に破棄された多くの余り革を目にし、その一帯が靴の生産地であることを知り、かねてから自分の足に合う靴が少ないことに悩んでいたこともあって靴に興味をもったのが、靴作りにかかわる動機でした。まず、同地の靴メーカーに就職し、商品企画に取り組みながら、靴に対する知識と関心を深めていくのですが、あるとき、友人に「僕の靴を作ってくれ」と頼まれ、就業後に技術者らの仕事を見よう見まねしつつ、初めての靴作りを経験しました。これがきっかけとなり、「基本から身につけたい」との思いを強くし、退職した半年後に渡英。約8か月間、靴の聖地ノーサンプトンの公的職業訓練校トレシャムインスティテュートで、手縫いを除くほぼ全ての基礎を習得したのです。
帰国後の’96年、元会社の同僚とともに埼玉県越谷市に工房「そのみつ」を開き、OEMの生産に従事し、’98年にレディスのカジュアルブランド「シューメイキング・マイ・ライフ」も立ち上げたのですが、’01年、惜しくも同工房は解散。末光さんは自宅で下請けの仕事をこなし、しかし週末に日本を代表する熟練靴職人、関信義さんのもとに通って手縫いの奥義を習い、また、横浜の木型工房で木型製作を学ぶなどし、技術の幅を広げていくのです。’03年には浅草で工房を構え、満を持してビスポークのブランド「ヒロシ・スエミツ」をスタートさせるのですが、これと平行してリペアを任されていた南青山の高級セレクトショップ、タイ ユア タイの関係から、約3か月間、ローマの老舗シューメーカー、マリーニで仕事をし、イタリア流手縫い靴の技術を習得するなど、他者からも学びながらスキルを高める努力を続けました。そして’15年2月、中野区南台に工房を移転した後も、こうした謙虚な姿勢は変わらず、現在に至っています。
オーダーの際はデッドストックレザーや珍獣の革も選べます
「僕はビスポーク至上主義ではありません。たとえばセメント製法の靴も好きですから。ただ、作って面白いのはビスポーク。既製靴はたとえるとプラモデルで、ビスポークは自家製って感じですね。奥が深いし、靴作りの醍醐味があるんです」と語る末光さん。以下では、そのビスポークの概要を紹介します。
デザインはフリーですが、ハウスデザインから選ぶことも可能。そのサンプルを眺めますと、末光さん作はどれもノーズラインが美しく、縫製や佇まいに繊細さと品性が感じられます。また、アッパーの素材も魅力的で、ボックスカーフでは独ワインハイマーに加え、いまはなき独カール・フロイデンベルクのデッドストック(茶系3色とネイビーのみ)も用意。イタリアの高級タンナーのイルチアのカーフ、イタリアの吟付きベロア、新喜皮革のコードバン、クロコなどのエキゾチック系(取り寄せになる)などに加え、ジュート(黄麻)風型押しが施されたイタリアンベロアや、ラマの革などのレア素材も選択できます。底材はイタリア製ベンズ(成牛の背~尻までの部位)が使われ、これに底前部のみに張るハーフラバーや、トウの摩耗を防ぐメタルトウプレート(通称ヴィンテージスチール)も取り付け可。ダイナイトやリッジウェイなどのゴム底にもできます。
驚くべきは、ホールカットのデザインにおいて、1枚の革で継ぎ目なく作られる真性ホールカットも可能という点です(通常のホールカットはヒールカップに継ぎ目がある)。このすこぶる難度の高い吊り込みができるのは、前述の関信義さんを含む世界でもごく数人にすぎず、したがって、このことをもっても末光さんの技術の高さがいかばかりかがおわかりになるはず。
なお、仕上がり品には桐製シューボックスのほか、ヒンジ・タイプ、ないし「靴の自作工房ヒロ」(日本橋馬喰町)オリジナルの、いずれかのシューキーパーが付属します。
“その人らしさ”を表せるのがビスポークならではの魅力です
「メガネや歯と同じように、靴のオーダーがもっと浸透するといいですね」と語る末光さんですが、では、ビスポークの製作において、日頃からどのような心がけをしているのでしょうかは? 最後に末光さんのモットーをうかがいました。「常に心がけているのは、足裏に吸い付くような靴にしたいとか、履いていないかのような靴にしたいということですね。そのうえで、ビスポークは既製靴以上に、履いてカッコよく見えなくてはいけないし、さらには、その人らしさがうかがえる靴でなくてはいけない。それがビスポークだからこそのメリットだと思います」ベテランでありながら、ときに他者から教えを乞うことも躊躇しない末光さんは、そんな理想の1足を作り続けるため、日々、試行錯誤しながら靴道を極めようとしているのでしょう。
ザ・シュー・ワーク・ショップ オーダー会開催
開催日:2016年4月1日(金)~4月30日(土)
会場:サルト銀座店、サルト原宿店
末光氏は常駐しておりませんので、ご注文の際は事前にご予約ください。
サルト銀座店
東京都中央区銀座2-6-16 第二吉田ビル3F
Tel.03-3567-0016
サルト原宿店
東京都渋谷区神宮前3-31-20 野津ビル2F
Tel.03-3408-3982
営業時間:11:00-19:30(日・祝11:00-19:00)※水曜定休
※ご覧いただくだけであればご予約は不要ですが、土日は大変混雑しますので閉店直前、あるいは平日がお薦めです。
The Shoe Work Shop
〒164-0014 東京都中野区南台4-30-11-1F
theshoeworkshop.strikingly.com
文:山田 純貴 写真:是枝 右恭
2016.04.07 UPDATE
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