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小笠原シューズ

小笠原シューズ

– BOQ PRESENTS - WE LOVE SHOES MADE TO ORDER  Vol.3 Ogasawara Shoes

創業60年! 揺らぐことなく手縫い靴の伝統を貫く
老舗工房が展開する極上仕立てのオーダーシューズ

1998年頃のことと記憶していますが、東京・銀座の某高級靴店のご好意で、初めて小笠原シューズを訪ねる機会に恵まれ、大変印象的な取材を経験することができました。とりわけ、親方の小笠原茂好さんがその場で実演してくださったスキンステッチ(縫い針を革に貫通させることなく手縫いで施す飾り縫いの一種で、極めて高い難度の熟練技が求められる。エドワード グリーンのドーヴァーなど、主に高級Uチップシューズに採用される)の超絶的な腕前には、大いに感動を覚えたものでした。

 

同工房は1955年、靴職人の小笠原光雄氏が東京・虎ノ門に設立した小笠原製靴をルーツとする手縫い靴の老舗です。1988年、西武新宿線の西武柳沢駅と田無駅の中間に位置する現在の地に移り、社名を小笠原シューズに改称。当時は製靴業においても機械化・量産化が進んだ時代でしたが、その潮流に乗らず、一貫して手縫い靴の生産を堅持してきました。とはいえ、その存在が世間にほとんど知られることがなかったのは、前述の銀座の名店をはじめとする高級靴店や百貨店などを顧客にしたOEMの製造に徹してきたためですが、じつはその優れた技術力は靴業界のなかではつとに有名だったのです。
 
そんな“知る人ぞ知る”小笠原シューズですが、前述の小笠原茂好さんが社長を退いて相談役となり、若手の根岸貴之が三代目社長に就いた翌2012年から、新たな取り組みとしてハウスブランド「シナンド」を立ち上げ、個人オーダーも受ける体制となりました。その全容は同工房のオフィシャルサイト(sinando.jp)や、本サイトの2014年8月16日掲載ショップアラウンド(boq2.sakura.ne.jp/serial/8707.html)などに詳述されていますので、それらをぜひご覧いただきたいのですが、ここでは同ブランドの概要のみ、以下に記述したいと思います。

小笠原茂好前社長であり現在は相談役の小笠原茂好さん(写真上)。現在では失われた製靴技術を知る生き証人。現社長の根岸貴之さん(写真下)へ技術継承を行っている。

根岸貴之

 

同工房2階に用意されたサンプルシューズの一部。Uチップのモカやトウのセンターシームに、小笠原シューズが十八番にする巧みなスキンステッチを見ることができる。

高い次元で安定したクォリティを
提供し続ける“確か”な技術力

シナンドは、3つのカテゴリーで展開されています。
まず、木型から作成する「カスタムメイド」、すなわちデザインフリーのフルビスポークです。素材は多様で、アップチャージにより、デッドストックされたデュプイ社製カーフのヴィンテージものや、コードバン、エキゾチック系などの希少素材も選択が可能。また、製法は4種類(後述)から選べます。ユニークなのは、仮縫い(マッケイ製法で製作される)の回数に制限がなく、最後の仮縫いでは試し履き専用のトライアルシューズで数日間、履き試しができる点でしょう。このようなわけで、完成までに半年以上を要し、納品がオーダーから1年以上などというケースもあるとのことです。

 
2番目は「パターンオーダー」で、サンプルシューズの試着後、有り型に幅出しや肉盛りなどを施して調整。デザインは約30パターンから選べて、ディテールの多少の変更なら無料で対応してくれます。選択できる素材や部材、製法は「カスタムメイド」と同様ですが、仮縫いはなく、したがって2カ月~3カ月と比較的短期で納品可能です。
 
さらに受注生産式で「レディメイド」も展開。サンプル試着や選べる製法などは「パターンオーダー」と同じですが、木型の調整、デザイン(15パターンから選べる)やディテールの変更などは不可で、仮縫いもナシ。アッパーは選択肢がある程度限られるものの、仏アノネイ社のボカルーカーフなどの高級素材が用意されており、製法は「カスタムメイド」や「パターンオーダー」と同様、底付けが全て手縫いのハンドソーンウェルテッド、本底付けが機械縫いとなる九分仕立て、マッケイとウェルテッドの混合製法であるマッケイグッド(別称ブラックラピド)、軽快な靴に仕上がるマッケイ製法から選ぶことができます。製作期間は2か月程度と、より気軽なものとなっています。

 

このシナンドに加え、2013年からは「普段使いの革靴」のコンセプトを掲げ、マッケイ製法で製作されるカジュアルブランド「シグマカテゴリー」も展開中。さらに注目すべきは、近く、自社のルーツを意識した「小笠原製靴」なるブランドもスタートさせる予定とのこと。こちらは同工房にストックされているヴィンテージの木型を使って受注生産のレディメイドを展開する、いわばアーカイブブランド。これらの木型は概して形状が複雑ゆえに「靴にするのがとても難しい」(根岸さん)ものの、足入れが良いうえ、靴にしたときに独特の佇まいになり、それが大変魅力的。と聞けば、靴好きにとって、これはさらなる楽しみとなるに違いありません。
 
小笠原シューズが展開している、これらオリジナルはいずれもデザインにおいてはベーシックなのですが、60年間受け継がれてきた優れた手技や、細部まで作り込む誠実な靴づくりの姿勢、そしてOEMで培ったものなのでしょう、個体ごとの品質のバラつきが少ない安定した技術力が最大の魅力とえるでしょう。そのこともあってか、顧客には、ここで注文靴に初めて挑戦するという人が少なくないとか。かつて目の当たりにした小笠原茂好さんのスキンステッチを思い出し、それもさもありなんと思った次第です。
 

小笠原シューズ

アッパーの各パーツを縫合する作業を外注するメーカーも多いが、小笠原シューズではこれも自社で行う。老舗ゆえに、ストックされた革のバリエーションも豊富だ。

小笠原シューズ

足形に適うがゆえに複雑な立体をなす木型でも、ハンドラスティング(手技で吊り込む技術のこと)により、シルエットが美しく、かつ快適な履き心地の靴にすることができる。

小笠原シューズ
小笠原シューズ

建物の1階に工房(写真)が、2階にはサンプルなどが目の当たりにできるオーダーサロンが設けられている。ちなみに先代を含み、計6名のスタッフが靴づくりに勤しんでいる。

 

– BOQ PRESENTS - WE LOVE SHOES MADE TO ORDER
第3回 小笠原シューズオーダー会開催

開催日:2015年10月24日(土)、10月25日(日)10:00~19:00〈両日とも参加自由〉
 
小笠原シューズを知っていただくため両日とも事前のご予約不要にてご参加いただけます。お気軽にお立ち寄り下さい。
両日共に職人さんとの楽しい交流、自信作を実際にお手に取って見ていただきたいと思います。

 
会場:東京都港区南青山4-17-18 カサ・クレール301 有限会社ドレッシーネット
連絡先:03-6459-2505

 

◆カスタムオーダー
■ハンドソーンウェルテッド(手製):300,000円~
■ハンドソーンウェルテッド(九分):230,000円~
■マッケイグッド製法:200,000円~
■マッケイ製法:170,000円~

 
◆パターンオーダー
■ハンドソーンウェルテッド(手製):180,000円~
■ハンドソーンウェルテッド(九分):130,000円~
■マッケイグッド製法:110,000円~
■マッケイ製法(出し縫い仕様):100,000円~
■マッケイ製法:90,000円~

※上記価格は全て税抜き表記です。

 

小笠原シューズ
〒188-0012 東京都西東京市南町2-2-8
TEL.0424-61-6673
13:00~16:00 休土・日・祝

文:山田 純貴 写真:是枝 右恭

2015.09.28 UPDATE

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